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「相馬勝の国際情勢インテリジェンス」

中国、報じられない「ウイグル族」強制収容所・強制労働の闇…100万人に洗脳教育か

文=相馬勝/ジャーナリスト
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習主席暗殺未遂事件

 ところで、ジョン・ボルトン前米大統領補佐官(国家安全保障問題担当)が最近出版した政権暴露本『The Room Where It Happened(それが行われた部屋)』には、習近平中国国家主席がトランプ大統領と会談した際、新疆ウイグル自治区強制収容所を建設する理由を説明した事実が明らかにされている。習氏は「ウイグル族が中国人に対してテロ活動をしばしば行っているためだ」としたが、「トランプ氏は収容所建設をまったく正しいことだと考え、習主席に進めるべきだと話した」と記されている。

 習氏がトランプ氏に説明したように、ウイグル族による暴動事件やテロ活動は数多く起きている。例えば2009年6月、広東省の工場でウイグル族労働者が漢族(中国人)に襲われ2人死亡した事件の報復として、翌7月には新疆ウイグル自治区ウルムチでウイグル族学生による大規模暴動が発生し、多数のウイグル族の市民が暴動に参加し、漢族数百人が殺害されるという事件が起きた。最終的に中国政府は人民解放軍も動員して、ウイグル族暴動を鎮圧し、数万人もの逮捕者を出したとの報道もある。

 その後も、ウイグル族の暴動やテロ活動は頻繁に起きているが、実は強制収容所を建設して、100万人ものイスラム教徒を収監、再教育するというジェノサイド的な弾圧は実行されていなかった。

 それが現実のものになったのは、ある事件がきっかけだった。それは習主席暗殺未遂事件だったのではないかと考えられる。

 2014年4月30日、ウルムチ駅に爆発物が仕掛けられ、3人が死亡、79人が負傷した事件が起きた。習氏は4月27日から30日までウイグル自治区を視察しており、爆破事件が起きた際、ウルムチ市内を視察していたとの情報がある。国営メディアによると、事件が起きたのは、漢族が多い四川省からの列車が到着したあとで、何者かが爆発物やナイフで乗降客らを襲撃。同市で爆弾事件が起きたのは過去17年で初めてだという。

 ちょうどこの攻撃が起きたときは、警察や武装警察による駅の警備が厳しいとされた時間帯で、習氏が近くに滞在していたことから、警備が強化されていたのではないかとみられる。そのようなときにテロを仕掛けるという、巧妙で大胆不敵な手口から、テロリストの本当の狙いは視察中の習主席暗殺だったとみられるのである。

 前出のニューヨーク・タイムズがすっぱ抜いた、イスラム教徒への弾圧の激化を記した機密文書には「習主席はイスラム過激主義について、『ウイルス』と同じようなもので『痛みを伴う積極的な治療』でしか治せないと考えている」と書かれているという。習氏はすんでのところでテロの犠牲にならなかった分、イスラム過激分子への憎しみが極限まで増大し、イスラム教徒のジェノサイドを決意し実行したのではないかとも考えられる。

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