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高齢者の3割が年収150万円以下?地方移住で生活費減&収入増、老後破産の恐怖脱出

文=藤野ゆり/清談社
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「たとえば、徳島県の上勝町は高齢者比率が52%以上と過疎化・高齢化が進んでいる地域です。しかし、葉っぱ(つまもの)を中心とした地域資源を軸にビジネスを展開し、全国でも有数の地域活性型農商工連携モデルとなっている町でもあります。なかには、年間売り上げ1000万円を超えるおばあちゃんも存在します」(同)

 日本料理を彩る「つまもの」の原料となる季節の葉や山菜の栽培、出荷、選定、販売を行う「葉っぱビジネス」が上勝町で成功したのは、その土地に根ざした古くからの知識や経験が生きているからだ。リタイア後、若かりし頃を過ごした地元に出戻り、地域で自然と培っていた技術や経験がビジネスとなり、生活を支えるといったケースも増えているという。

「日本版CCRC」とは

 また、労働力が欠けた土地だからこそ、第二の人生をスタートしやすいというのも地方の特徴といえるだろう。しかし、慣れ親しんだ地元であればいいが、いきなり縁もゆかりもない地域に居を構えるのは不安だという人もいるのではないだろうか。

「せっかく移住しても、コミュニティに馴染めず孤立してしまうのでは地方移住の意味がありません。そこで利用してほしいのは『日本版CCRC』。これは、高齢者が健康な段階で移住し終身で暮らすことができる生活共同体で、元気な高齢者の地方移住を国が推進する制度です」(同)

「CCRC」とは「Continuing Care Retirement Community」の略称。地方に移住しアクティブな生活を送ることで、たとえ要介護状態になっても継続的ケアを受けることが可能となる。リタイア後も積極的にコミュニティに参加し、主体的に生きることを目的とした共同体だ。

「これはもともとアメリカで始まった制度ですが、アメリカが富裕層を対象にしているのに対して、日本版は標準的な厚生年金受給額(約21万円)で生活できるようになっています」(同)

 金融庁が算出した「2000万円不足」は、高齢夫婦の平均支出と年金受給額に毎月5万円前後の差が出てしまうことが問題だった。しかし、日本版CCRCであれば、年金だけで生活を維持することが可能となる。少子高齢化が進むなかで、その存在はより広く知られていくだろう。

 生活スタイルや働き方が多様化すれば、「2000万円」という不足額の“平均値”はほとんど意味をなさなくなる。2000万円をコツコツ貯める自助努力も重要だが、健康体のうちに地方移住するという選択肢も検討してみてはいかがだろうか。

(文=藤野ゆり/清談社)

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