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さんきゅう倉田「税務調査の与太話」

個人事業者と給与所得者、得なのはどっち?税負担に大きな差、某大学教授が憲法違反だと裁判

文=さんきゅう倉田/元国税局職員、お笑い芸人

 まず、給与所得と事業所得の控除などの違いについては、「国民各自の事実上の差異に相応して法的取扱いを区別することは、その区別が合理性を有する限り、なんら違反するものではない」。そして、“クロヨン”“トゴーサンピン”と揶揄されるように、所得の捕捉率には乖離がありますが、これについては「租税公平主義の見地から、その是正のための努力が必要であるといわなければならない。しかしながら、このような所得の捕捉の不均衡の問題は、原則的には、税務行政の適正な執行により是正されるべき性質のものである」としました。

 さらに、「租税優遇措置が合理性を欠くものであるとしても、(略)違憲無効ならしめるものということはできない」として、教授の主張を退けました。

 教授の主張は認められませんでしたが、その後、昭和60年の税制改正において、給与所得控除は拡張され、確定申告関係の書籍やサイトでお馴染みの、まったく使えない制度“特定支出控除”が新たに創設されました。

 給与所得者と事業所得者の税負担が平等だとは思いませんが、それを理由に申告しないというのは、合理性に欠けます。ただ、教授の訴えがなければ、今日の所得税の制度はなかったかもしれない。そう考えると、勇敢かつ意義のある事件だと思います。

 なお、もし税負担のことだけを考えて、個人事業者になろうという人がいれば、それは正しい選択とはいえません。税負担以外の長所が給与所得者にはたくさんあるからです。
(文=さんきゅう倉田/元国税局職員、お笑い芸人)

●さんきゅう倉田
大学卒業後、国税専門官試験を受けて合格し国税庁職員として東京国税局に入庁。法人税の調査などを行った。退職後、NSC東京校に入学し、現在お笑い芸人として活躍中。2017年12月14日、処女作『元国税局芸人が教える 読めば必ず得する税金の話』(総合法令出版)が発売された。

「ぼくの国税局時代の知識と経験、芸人になってからの自己研鑽をこの1冊に詰めました。会社員が社会をサバイバルするために必須の知識のみを厳選。たのしく学べます」

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