台湾ではなく韓国が選ばれた理由

 米中冷戦の中心は、半導体である。米中半導体戦争の鍵は、最先端半導体工場を持つ台湾TSMCと韓国サムスンの2社で、この2社を米陣営に入れる必要がある。この2社は「ファウンドリ(半導体製造受託工場)」として他社製品の製造を受託しているのがポイントだ。

 世界の半導体の半分以上が台湾で生産されており、米国が規制するファーウェイ製品の半導体チップを生産しているのも台湾TSMCである。米中半導体戦争の要は、間違いなく台湾である。香港国家安全維持法施行で完全に香港を取り込み、インドのように中国との対立が深まったかのようにみえる台湾はEPNの候補には上がらなかった。

 親日で知られている台湾は日本人からも親しみやすいイメージがあり、経済協力を行うのならば台湾という声も出ているなかで、トランプ大統領が韓国にアプローチしたのは、気まぐれではない。

 台湾の政界・経済界の上層部は大陸系で占められており、TSMCの創業者モリス・チャンも、創業時からファーウェイを技術面で支え続けてきている。ファーウェイのコアパートナーはTSMCだけでなく、パナソニック半導体買収を画策するウィンボンド、シャープを買収した鴻海精密工業と台湾系に支えられており、中国半導体企業だと認識されているSMICも台湾人が創業し現在もウィンボンド創業者が実質支配している。しかも、これら企業の創業者たちは、ファーウェイ副総裁孟晩舟の祖父と3代前から家族ぐるみでの付き合いで支え合っており、実質的にはファーウェイを中心とした複合企業(コングロマリット)のようなもので、切っても切れない関係だ。

 TSMCは、米国から最先端の半導体製造装置を輸入できなくなれば、本業にも支障をきたすので、渋々ファーウェイとの取引制限を受け入れたが、米当局からの信用は完全には得られていない。米国側も、この台中コングロマリットが簡単に同胞を裏切らないということを理解し始めている。

 そのためトランプ政権は、いつまでも中国の抜け穴であり続ける台湾を説得するよりも韓国を経済協力の仲間に入れようと考えた。

韓国「与党圧勝」のウソ

 文在寅大統領は親中なので、韓国がEPNに参加するか否かは不透明だが、トランプの狙いは韓国をG11に招き入れるという餌で韓国を米陣営に取り込みたいところだろう。

 サムスンは、文大統領から「親日の遺物」として忌み嫌われ、叩かれまくっている。“漢江の奇跡”が教科書から消えるくらいなので、朴正煕が日本と協力して韓国を成長させた過去をなかったことにしたいのだ。韓国政府がサムスンを虐め、メーカーとしての力を落としたり、中国に擦り寄ったりすれば、ファーウェイにとって好機となるので、トランプ大統領はそれを潰したい。

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