実は、文政権によって経営が不利になった企業はサムスンだけでなく、工場を持つメーカー全体がブルーカラー労働者賃金引き上げで競争力を落としている。それに加えて、文大統領による反日姿勢があまりにも酷いために、韓国半導体企業に「日本と仲良くしたいと考えているが、親中文大統領が邪魔である」という雰囲気が流れているので、企業側は米国のアプローチを歓迎する可能性は高い。報道されないが韓国の世論の半分は、中国依存を嫌い、日米との関係改善を望んでいる様子が前回の選挙で浮上している。

 今年4月の韓国総選挙で、与党の「共に民主党」が圧勝したかのように報道されているが、当日投票で見ると与党と野党の比率は平均的に52%対48%と僅差であった。ところが、郵送投票では、すべての地域で63%対36%と、当日投票との差に大きな乖離があり、開票システムに間違いがなかったか確認を求めたが、票の原本が消えて確認が不可能だったことに批判が上がっていた。

 郵送投票に用いられた某社の開票システムには、ファーウェイ製5G通信で繋ぐと任意の結果が出せる製品があり、不正選挙が指摘されたケニア、イラク、ボリビアなども同じシステムが使われているために、野党の未来統合党が「不正選挙だ」と騒いだ。

 そういった背景から、韓国の世論は与党と野党でほぼ半々くらいになっているので、EPNで韓国産業界にメリットを与えて米国寄りに抱き込み、韓国からファーウェイを排除させれば正常な選挙結果を出せるので、未来統合党が勝利するチャンスはまだある。そうすれば、日米韓関係の正常化が可能だとトランプ政権は読んでいる節がある。

外交はあくまでビジネス

 日本企業を中国依存経済から脱却させない限り、大企業からの「中国に忖度せよ」という圧力に政治家は屈することになる。その構造から脱却するには、トランプ大統領が打ち出したEPNを利用し、かつインドに協力して良好な経済関係を構築することが戦略として必要となる。

 その外交は、「どこの国が自分を好きだから」という情緒的な視点でなく、「自国企業に経済的メリットを与え、政治的にバランスを取れる」という視点から考えなければならない。

 イギリスは欧州と米国の間に位置しており、欧州経済圏や米国という市場に取り込まれ兼ねないため、時代時代で欧州に寄ったり米国に寄ったりとバランスを維持している。そこで一番重要なのが「強い通貨」であり、イギリスは「ユーロに加盟するフリ」で20年近くEUをたぶらかし、最終的には離脱でポンドの利点を維持している。日本はスーパーシティ構想でデジタル人民元を受け入れれば、一瞬で地方経済が中国に取り込まれてしまうリスクがあることを見落としている。それだけ、日本という国家は政治にビジネスを理解している人間を取り込んでこなかったという弱点を露呈していることがわかる。

 米中冷戦で、日本は中国とアメリカに振り回されるようになったが、自主性を重んじるのであれば、アメリカの外圧を利用して過度の中国依存から脱却し、インドとも強調してバランスを取っていく必要がある。
(文=深田萌絵/ITビジネスアナリスト)

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中国の世界支配ビジネス、脱却のカギはインドと韓国?トランプ大統領はなぜ台湾を外したのかの画像2深田萌絵(ふかだもえ)
ITビジネスアナリスト
早稲田大学政治経済学部卒 学生時代に株アイドルの傍らファンドでインターン、リサーチハウスでジュニア・アナリストとして調査の仕事に従事。外資系証券会社を経て、現在IT企業を経営。

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