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湯之上隆「電機・半導体業界こぼれ話」

米国政府が5兆円投資し「半導体製造」に本気を出し始めた…戦略もヤル気もない日本政府

文=湯之上隆/微細加工研究所所長
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 米国には、アップル、クアルコム、ブロードコム、NVIDIA、AMDなどのビッグカスタマーが勢ぞろいしており、TSMCの最大の顧客なのだ。直近の2020年第2四半期では、米国が58%、ファーウェイの成長とともに売上高構成比が上昇した中国が21%、中国を除くアジアが10%、欧州が6%、日本が5%となっている。なお、2020年9月以降、TSMCは米国政府の要請により、ファーウェイ向けの半導体を出荷しなくなるため、中国比率が激減することが予想される。

 話を日本に戻すと、TSMCから見た日本とは、たった5%のビジネス規模しかない国である。約60%を占める最大顧客の米国とは、まるで重要性が異なるのである。

やるなら本気でやれ

 まとめると、TSMCにとって売り上げの約60%を占める最大顧客の米国は、半導体工場誘致にあたり総額470億米ドル(約5兆円)を支援する2つの法案を提出している。一方、わずか5%の売上規模しかない日本では、TSMCに対する政府の支援金額は、数年間で1000億円しかない。

 いくら、日本が製造装置や材料に強みを持っているといっても、TSMCにとって日本は魅力的な国には見えないだろう。本当にTSMCの半導体工場を誘致したいなら、TSMCがよろめくほどの支援策や支援金を提示するべきである。たった1000億円で、TSMCが最先端の半導体工場をつくってくれると思ったら大間違いだ。

(文=湯之上隆/微細加工研究所所長)

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