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浜田和幸「日本人のサバイバルのために」

中国・三峡ダム、「人類史上最も悲惨なダム決壊事故」の危険…被災者6億人、工業地帯水没

文=浜田和幸/国際政治経済学者
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 しかも、これらの小型ダムの大半は1950年代から70年代にかけて、人口増加に伴う農業生産を支える水利目的で建造されたもの。「大躍進」時代の産物にほかならない。さらにいえば、当時のダム建造技術は低レベルであり、財政的な制約もあり、大部分のダムは土や石を積み上げただけの小規模なもの。「寿命は50年」といわれており、すでにほとんどすべてが耐用年数をはるかに超えている。要は、5000基ほどのダムはいつ決壊してもおかしくない状況にあるわけだ。

 毛沢東主席による「自力更生」の掛け声で建造されたものだが、やはりすでに3500基のダムはこれまでの大雨で決壊してしまった。旧ソ連の支援で1952年に完成した黄河上流のダムは1975年の洪水で決壊し、「人類史上最も悲惨なダム決壊事故」として記録されている。数十万人の死者が出たが、当時はその事故は隠蔽され、その事実が明らかになったのは20年以上の月日がたってからのことだった。

 こうした事態を受け、当然のことながら、中央政府はダム補修工事を進めているが、地方自治体レベルでは資金や人材不足もあり、危険除去や補強作業は後回しにされてきた。実際、1998年には4000人以上が命を落とし、数百万人が住む家を失うという大洪水が発生した。その原因は「森林の伐採」と「土壌の浸食」といわれたものだ。そのため、急遽、中国政府は揚子江上流での森林伐採を禁止し、再植林計画を発動することになった。

 ダムが決壊すれば、農地は水没し、農作物の収穫はゼロになってしまう。中国にとっては水との戦いは食料確保の戦いでもある。そんな「水と食の戦い」の経験を活かし、中国はアフリカの国々にダム建造というインフラ整備を推進している。しかし、自国内で発生する豪雨やダムの決壊という危機的状況に対して、十分な対応ができていないこともあり、アフリカ諸国からは中国によるダム援助プロジェクトに対して懸念する声が上がり始めた。

世界中で豪雨被害

 他方、中国とは国境を接するベトナムでも巨大台風や地球温暖化が原因と目される海面上昇による経済的損害が増え続け、すでにGDPの1.5%が奪われている。これまで、南シナ海の権益をめぐり対立を繰り返してきた中国とベトナムであるが、今年7月以降、自然災害への対応や危機管理面での共同事業を推進することで新たな合意を形成する動きが出てきた。災害への危機感が対立する両国を歩み寄らせるきっかけをもたらした感がある。まさに「禍を転じて福と為す」となるものかどうか。対立する両国の今後の動きが注目される。シンガポールやインドネシアでも大雨の被害が報告されている。

 さらに、南アジアに目を向けると、バングラデシュでは国土の3分の1が水没してしまった。例年6月から9月にかけてはモンスーンの季節といわれるが、今年は雨量が半端なく多い。隣国のインドでもこれまでにない規模の洪水が襲い掛かっている。ユネスコの世界遺産に認定されているアッサム州にあるカジランガ自然公園では85%が水没し、サイなど多くの野生動物が命を失った。

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