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六代目山口組分裂騒動が迎えた大きな岐路…神戸山口組から中心勢力が相次ぎ離脱した影響

文=山口組問題特別取材班
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7月22日に行われた山健組会合から途中退席した、“残留派”と思われる組長たち

 7月22日、神戸山口組からの離脱を正式に表明した五代目山健組が、兵庫県高砂市で決起集会とも受け取れる会合を開催したのは既報の通りだ【参考記事「新生・五代目山健組がついに誕生」】。さらに27日には、神戸山口組発足の中心人物のひとりである池田孝志組長率いる池田組が、神戸山口組から離脱することが明らかになった【参考記事「神戸山口組の「大御所」が離脱…」】。そんななか28日には、五代目山健組内で神戸山口組への残留を決めたと見られる勢力が、兵庫県明石市で会合を開催した。

 この会合には、高砂市での決起集会に参加しなかった直参組長をはじめ、22日の会合を途中退席した組長が複数出席したことが捜査当局によって確認されている。

「この会合に出席した神戸(山口組)残留派は、10数名と見られており、数では、神戸を抜けた勢力のほうが上回っていると聞いている。まだ会合の内容までは漏れ伝わってきていないが、離脱騒動に関係していることは間違いないだろう」(業界関係者)

 ただ神戸山口組では、拘置所から離脱を指示したとされる五代目山健組・中田浩司組長になんらかの処分を下すことを現在までしていない。それについて、ヤクザ事情に詳しい専門家はこのように指摘する。

「2017年に絆會の織田絆誠会長らが神戸山口組を離脱した際は、すぐに神戸山口組執行部からの絶縁処分が関係各所へ伝えられています。しかし、今回の中田組長のケースは明らかに違います。中田組長は現在、接見禁止状態ですが、それが解除され、弁護人以外の組織の人間が面会ができるようになれば、社会や組織の状況を正確に把握することができるわけです。そうなった時に中田組長が心変わりすることも考えられると見ているのではないでしょうか。実際、これまでも山健組内部からはそうした声が漏れ伝わってきていました。それに山健組といえば、神戸山口組の軸となる勢力です。その勢力の多数派が、中田組長の意向に付き従い離脱したのですから、その扱いについては、否が応でも慎重になる必要があるのではないでしょうか」

 特に中田組長は、現在、六代目山口組分裂抗争の事件に関与したとして社会不在を余儀なくされている。いうなれば、組織のために身体を賭けた功労者となるのだ。だからこそ、今回の中田組長の離脱の意向は多くの支持を集めたともいえるだろう。そんな山健組だが、今後の動向はどうなるのか。前出の業界関係者はこう話す。

「神戸山口組から離脱した勢力も、残留の意向を示している勢力も、いったんは袂を分かつ形になったといえ、五代目山健組として、どうにかひとつにまとまることはできないかという考えは同じではないだろうか。ただ、どちらの会合にも出席していない組長らが存在しており、そのなかには、この機会に引退する意志を示している組長もいるといわれているようだ」

 確かに、山健組がこうした状態になるとは誰が予想できただろうか。自身が心血を注いで支えてきた、一時は「山健にあらずんば、山口にあらず」といわれたほどの名門組織が2つに分かれるという前代未聞の出来事を受けて、渡世から身を引くことを考える親分がいてもおかしくはないのかもしれない。特に、神戸山口組設立後、数年間は神戸山口組のトップである井上邦雄組長が、山健組の四代目組長を兼任していたのだ。その後、2018年に若頭を務めていた中田組長に五代目を継承したのだが、トップの出身母体ということは、神戸山口組において中枢のなかの中核ということになる。つまり、神戸山口組の顔は山健組であったのだ。

「井上組長から代目を継承した中田組長が、拘置所から神戸山口組の離脱を決めた背景には、当初問題視されていた、上層部に収める高額な組費(会費)以外の事情もあったのではないか。現にその後、組費が減額されたらしいのに、離脱は回避できなかった。そのほかにも余程のことがあったのではないか」(同)

 今回の五代目山健組の騒動は、今後の神戸山口組の運営にも大きく影響していくだろう。直接的な因果関係は定かではないが、現に神戸山口組随一の資金力を誇っていたといわれた池田組も神戸山口組を離脱している。今後も離脱する組織が出てくるのではないかと噂されるのは、必然ともいえるだろう。

 また、六代目山口組と神戸山口組が抗争状態にあると見て、両組織を特定抗争指定暴力団に指定している警察当局は、今回の離脱劇をどのように見ているのか。

「五代目山健組の一部勢力も池田組も、神戸山口組から出たとはいえ、すぐに特定抗争指定の対象外とはしないと思われます。しばらくの間はその動向を見つつ、ゆくゆくは独立組織として指定暴力団に指定し、官報に公示することも検討していく考えではないでしょうか」(ヤクザ事情に詳しい専門家)

 分裂問題は、大きな分岐点を迎えているといえるだろう。

(文=山口組問題特別取材班)

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