――先ほど「一流デザイナーほど学んでいる」というお話がありましたよね。やはり、知りたい分野の歴史を知るのがいいのでしょうか。

高橋 そうですね。何事も、ある程度は勉強、座学する期間が必要だと思います。たとえば、すごくおいしい料理を食べて「おいしい!」とは誰でも思えますが、「なぜおいしいのか」を説明するには知識が必要になりますよね。

――勉強は必要だけれど、感性は先天的なものではなく、いくつになっても学べば磨いていけるというのは希望の持てる話ですね。

高橋 はい。いわゆる「センスのいい」人というのは、その人の中に広大な知識のバッググラウンドがすでにあって、そこから最適な案を導き出すことができる人なんです。そういったバッググラウンドがなくても、感覚的にそれができてしまう「天才」も中にはいるのでしょうけれど、そんな人はごくごく少数だと思います。「センスのいい」方は、ほぼみな、ずっと学び続けています。

 また、センスを磨く方法として、著名なデザイナーや芸術家が書いた本を読む、名言に触れる、というのもいいと思います。「良いデザインは説明しなくてもわかる」という人もいますが、デザイナーは言葉で説明できなければダメだと思います。「こういう意図でデザインした」と言えないといけないし、優れたデザイナーほど、ハッとするような言葉を残しています。

 たとえば、本書でも紹介しているカッシーナの椅子LCコレクションのデザイナー、ル・コルビュジェは「椅子は座るための機械だ」という名言を残しています。

――椅子をそんなふうに考えたことがなかったです。切れ味のいい短歌や俳句を見たときのような「あっ」という気持ちになりますね。

高橋 モノの新しい見方を示すという点で、哲学的ですよね。こういった一言を知っているかどうかで、デザインを見る目が変わってきます。言葉は論理ですから、やはり優れたデザイナーは左脳も優れているんです。

SNSがデザインのセンスを奪う?

高橋 デザイナーや、デザインを企業として判断しないといけない経営層ならさておき、消費者としてなら、デザインは「好きか嫌いか」で十分だと思うんですよ。もちろん、知れば知るほど楽しくはありますが。

――このデザインは好きだな、嫌いだな、なぜだろう、と考えるだけで楽しいですよね。

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