パルコ化で若い世代と訪日客の取り込みを図る。5月末に就任した好本達也社長は急減した訪日客について「人口減が進む国内客より確実に有望なマーケット」とし、将来的に中国や東南アジアからの旅行客が戻ることに備えるとした。

インバウンド御用達の銀座三越の売上は急減

 三越伊勢丹HDは期初に「未定」としていた通期業績予想を開示した。21年3月期の最終損益は600億円の赤字(前期は111億円赤字)になる見通しとした。最終赤字は2年連続。赤字額は店舗閉鎖で損失を出し、過去最大だった10年3月期(635億円)に並ぶ規模になる。

 売上高は前期比26.5%減の8230億円、営業損益は380億円の赤字(前期は156億円の黒字)に転落する。10年3月期の最終赤字は特別損失が主因で営業損益段階では黒字だった。コロナの直撃を受けた今期はより深刻ということになる。

 新型コロナで4~5月にかけて主要店舗での休業が相次いだ。再開後も回復は鈍く、7月以降の売上高も平常時の15%減で推移するとみている。訪日客需要はゼロになる見込みだ。業績悪化を受け、「未定」としていた年間配当を前期比3円減の9円と10年ぶりに減らす。

 中国当局が1月末実施した団体旅行客の制限に加え、政府が3月9日に中韓両国からの入国制限を強化したことで、訪日客が大きく減少した。訪日客の人気が高い化粧品販売が落ち込んだ。訪日客の御用達の店として名を高めた銀座三越の4~6月の累計売上高は、前年同期と比べて78.3%の減少。伊勢丹新宿本店の64.1%減、三越日本橋本店の59.1%減と比べても減少幅は大きい。インバウンド需要に完全に依存していた店だったことを数字が裏付けた。

 訪日客の聖地として、その名を高めた銀座三越。インバウンドへの依存度が高すぎたがゆえに、一転して店自体の存続が危ぶまれる窮地に立たされた。三越伊勢丹HDは大都市郊外や地方都市の店舗を相次ぎ閉鎖。東京の主要3店(伊勢丹新宿店、日本橋三越本店、銀座三越)に軸足を置く都市型百貨店の王道を歩むこととしてきた。

 ところが、コロナの一撃でインバウンド需要が消失した。ポストコロナの時代は百貨店という業態そのものの存続が危ぶまれることになるかもしれない。

(文=編集部)

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