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吉澤恵理「薬剤師の視点で社会を斬る」

むやみにイソジンでうがいするのは副作用の恐れ大…水で十分、転売は犯罪になる可能性

文=吉澤恵理/薬剤師、医療ジャーナリスト
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治療効果は期待薄か

 吉村知事の会見を受け、各テレビ局は多くの専門家に見解を求めたが、一様に治療効果は期待が薄いのではないかとの見方を示した。

「このウイルスは唾液の中にいることがわかっているので、そういうものを減らすという意味では、周辺の方々に感染拡大することを防止する可能性はあるかもしれない」(昭和大学医学部・二木芳人客員教授)

「本当に重症化を抑えるのに効くかどうかは、科学的なデータ・根拠を(示してほしい)」(国際医療福祉大学 松本哲哉主任教授)

「(ポビドンヨードは)消毒薬であって直接治療するものではない。常在菌もなくなるので、無闇に使用すべきではない」(昭和大学病院・相良博典院長)

 しかしながら、吉村知事の会見に同席した大阪府立病院機構大阪はびきの医療センターの松山晃文・次世代創薬創生センター長は、会見後にメディアの取材に対して「単なる消毒作用以上の効果があるのではと期待しており、大阪府の協力を得て研究を進めたい」との意向を示している。

 多くの人がポビドンヨードうがい液を買いに走っている現状を受けて、麹町皮膚科形成外科クリニックの苅部淳院長は警鐘を鳴らす。

「ポビドンヨードによるうがいは、常在菌の死滅によるバランス悪化も心配されますので、水うがいで十分です。主成分はヨードなので、頻繁に使用すればヨードの過剰摂取によって、ウォルフ-チャイコフ効果、すなわち甲状腺ホルモン合成が抑制されて、甲状腺機能低下を招きかねません」

 医療ジャーナリスト、薬剤師としての筆者の見解をお伝えするなら、「うがい」そのものに感染拡大防止が期待できる可能性があり、それは水うがいでも十分である。また、ポビドンヨードに含まれるヨウ素により健康被害が起きる可能性もあることを認識していただきたい。

 また、すでにポビドンヨードうがい薬の転売が起きているが、「第三類医薬品」に該当するため、一般の人が許可なく販売すれば薬事法違反となる恐れがある。

 影響力がある吉村知事の発言ではあるが、くれぐれも鵜呑みにせず落ち着いた行動をとってほしい。通常の手洗い、うがいを励行することが新型コロナウイルスの感染防止の基本である。
(文=吉澤恵理/薬剤師、医療ジャーナリスト)

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吉澤恵理/薬剤師、医療ジャーナリスト
1969年12月25日福島県生まれ。1992年東北薬科大学卒業。薬物乱用防止の啓蒙活動、心の問題などにも取り組み、コラム執筆のほか、講演、セミナーなども行っている。

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