
安倍晋三総理が1カ月以上、会見を開かないことが話題となっている。体調不良が原因とウワサされ、一部週刊誌では吐血したと報道されるほどだ。新型コロナウイルスの感染者が増加しGo To キャンペーンで「東京外し」へ方針転換するなど混迷を深めるなかで、国家のリーダーたる総理大臣が人前に姿を見せず、国民に語りかけることもしないのは、もはや資格がないと言われても仕方がない。
政治部記者「騒ぐのは素人の証拠」
「総理大臣が記者会見するなんて年頭と通常・臨時国会の閉会、あとは国際会議の時くらい。1カ月会見しないなんて普通で、騒ぐのは素人の証拠だ」――。ある全国紙政治部記者は、6月18日以来、安倍総理が会見しない現状についてこう吐き捨てた。
今年の会見を官邸ホームページに沿って確認してみると、1月6日の年頭記者会見を皮切りに、2月以降はコロナの感染拡大に対応し、2月29日、3月14日、3月28日、4月7日、4月17日、5月4日、5月14日、5月25日、6月18日の9回と、計10回会見していることになる。
少し過去にさかのぼって検証してみよう。昨年は首脳会談やサミット後の共同記者会見などを含めると18回だが、純粋に国内向けの会見に絞ると1月4日の年頭記者会見、4月1日の元号決定、6月26日の通常国会閉会、9月11日の内閣改造、12月9日の臨時国会閉会の5回にとどまる。
一昨年も国際絡みでないのは、1月4日の年頭記者会見、7月20日の通常国会閉会、10月2日の内閣改造、12月10日の臨時国会と4回だ。この傾向を見てみると、今回のコロナの感染拡大で、安倍首相が国内向けに10回会見するのは異常な回数であることがわかる。
1時間の会見が疲れる
先の政治部記者が言う通り、もともと総理会見自体が少ないということは間違いないとしても、今回のコロナ禍はまごう事なき国家的危機である。素人と呼ばれようがなんだろうが、国民からすればしっかりと今後の方針や励ましの力強い言葉が欲しいのが人情というものだろう。特に、一度押さえ込んだかに思われた感染者が7月を境に一挙に全国的に拡大している時には。また、夏休みを当て込んだ観光振興策のGo To キャンペーンの「東京外し」で混乱している時には。
安倍総理が会見を避ける理由として、先の記者は「コロナ対策でただでさえ体力と気力が削られる中、会見が1時間程度に長期化していることも原因」と指摘する。コロナの感染拡大前の総理会見は大体20~30分程度だったが、今年に入ってからの会見はメディア側からの追及が強まっていることもあり、倍の1時間程度になっている。