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コロナ禍で受け取れる給付金・支援金一覧…失業手当が50万円増える裏ワザ

文=日向咲嗣/ジャーナリスト
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「Getty Images」より

「現在、失業中なのですが、10万円の定額給付金のほかに、もらえるお金はありませんか?」

 最近、筆者の元に、そんな問い合わせのメールが目立ってきた。

 厚労省によれば、新型コロナウイルス感染拡大の影響で解雇・雇止めされた人の数は、7月末時点で4万1391人。そのうちもっとも多かったのは製造業の7003人で、影響は飲食業や宿泊業などから徐々に産業界全体へと広がりつつある。

 赤字決算を発表する企業も続出しており、リーマンショック級の不況の足音がヒタヒタと迫りつつある。突然の生活破綻は、もはや誰にとっても決して他人事ではない。

 そこで、最悪の事態を免れるために、今から知っておきたいトクする情報を、いくつかピックアップしたい。

 突然、失業した人にとって一番頼りになるのが、雇用保険である。週20時間以上勤務していて、31日以上雇用の見込みがあれば誰でも加入でき、原則として退職前2年間に12カ月以上(会社都合なら退職前1年間に6カ月以上)加入していれば、退職後に失業手当がもらえる。

 支給されるのは、在職中賃金の原則5~8割(30歳以上45歳未満は日額7605円が上限)。それを90日から最長330日もらえるという制度なのだが、法改正や新型コロナ対策によって、知らないと損する改定がここへきていくつか導入されている。

 なかでも真っ先に頭に入れておきたいのが、給付制限の短縮である。自己都合で退職した人の場合、これまでハローワークで受給手続きを行っても3カ月の給付制限を課せられてきたが、この期間が今年10月1日からは1カ月短縮されて2カ月となる(5年間のうち2回まで。3回目以降は従来通り3カ月の給付制限)。よって、自己都合で9月末に退職を予定している人は、退職日を10月1日以降に延期することも検討しておきたい。

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『第9版補訂版 失業保険150%トコトン活用術』 (日向咲嗣/同文舘出版) より

給付日数が大幅に延長

 第2に、給付日数の延長がある。こちらは、今年6月12日以降に雇用保険をもらいきる人を対象に、60日分(一部30日※)も給付を延長してくれるという制度(新型コロナウイルス感染症等の影響に対応した所定給付日数延長に関する特例)。

 日額8370円(45歳以上60歳未満の上限額)とすると、60日分かけると約50万円も多く失業手当をもらえる計算。なぜかほとんど知られていないが、かなり大判振る舞いな緊急対策だ。

 対象になる人の要件は、退職時期によっても大きく異なる。

 まず、今年4月7日の緊急事態宣言発令以前に退職して、まだ失業手当をもらいきっていない人であれば、全受給者が対象となる。無条件で原則60日分も給付延長となり、退職理由も一切問われない。

 一方、4月8日~5月25日までの緊急事態宣言発令期間中に退職した人の場合は、「特定受給資格者および特定理由離職者に限る」という縛りが設けられている。前者は、リストラや解雇など(退職勧奨も含む)、いわゆる「会社都合退職者」で退職した人で、後者は会社都合ではないものの契約社員の期間満了や遠隔地への転勤などにより「離職を余儀なくされた人」を指す。つまり、自己都合で辞めた人は対象外ということだ。

 さらに今年5月26日以降の緊急事態宣言が解除されて以降は、それらに加えて「新型コロナウイルス感染症の影響により退職を余儀なくされた」という前提条件がもうひとつ加わる。

 とはいえ、もちろん、宿泊業や飲食業などのように直接的な打撃を受けたケースにとどまらず、新型コロナウイルスによる景気後退で会社の業績が大幅に悪化したために退職を余儀なくされたケースも含まれるのは言うまでもない。

 いずれにしろ、4月8日以降に辞めた人は、退職理由によってもらえる雇用保険の日数に大きな差が出てくるため、退職理由には細心の注意を払いたい。会社都合だと思って退職したのに、送られてきた離職票を見ると自己都合扱いにされていることも日常茶飯事。そんなときには、ハロワで受給手続きをする際に、異義申し立てをしておこう。すると、ハロワの調査で判定が覆ることも珍しくない。

 なお、この給付延長は、新型コロナウイルス感染症が終息するまでの“当面の間”に適用される暫定措置である。

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『第9版補訂版 失業保険150%トコトン活用術』 (日向咲嗣/同文舘出版) より

退職していなくても収入が激減した人への救済措置

 もうひとつ注目したいのは、退職はしていないものの、仕事が大幅に減ったため自宅待機のままで収入が激減してしまった人に対する緊急措置である。

 事業所から休業を命じられた場合、本来であれば、勤務先が雇用調整助成金を申請して、それをもとに、休業した期間については従業員に休業手当を支払うのが筋だが、手続きが繁雑だったり、一定の要件を満たせないために申請しない企業や店舗が多いのが実情。

 そこで、事業所単位はもちろん、労働者個人でも申請できるようにしたのが「新型コロナウイルス感染症対策休業支援金」である。

 対象は、新型コロナの影響により休業させられた中小企業労働者のうち休業手当の支給を受けられなかった人。休業実績に応じて休業前賃金の8割を支給してくれる。しかも、月額上限が33万円(日額上限1万1000円)と高く設定されているため、従来の雇用調整助成金と比べても、かなりオトクな給付金といえる。

 雇用保険には加入していない人も対象になることと、事業主の証明が得られない場合には、その旨を記入して個人で申請可能なため、ほかの給付金がことごとく対象外だった人にとっては、救世主のような存在になるかもしれない。

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『第9版補訂版 失業保険150%トコトン活用術』(日向咲嗣/同文舘出版) より

 このほか、休業に伴う収入減少によって、失業はしてないが家賃負担が重い人のために、原則家賃実費を3カ月分給付してくれる「住宅確保給付金」も、労働者個人で申請でき、比較的ハードルが低い給付金といえるだろう。

 下に使えそうな給付金の一覧表をまとめておいたので、参考にしていただきたい。
(文=日向咲嗣/ジャーナリスト)

労働者個人で申請できる主な生活支援制度一覧

緊急小口資金・
総合支援資金
新型コロナウイルス感染症の影響による休業や失業等により、生活資金で悩んでいる人に必要な生活費用等の貸付 市区町村社会福祉協議会
又は労働金庫
社会保険料等の猶予 新型コロナウイルス感染症の影響により一定程度収入が下がった場合、国民健康保険、国民年金、後期高齢者医療制度及び介護保険の保険料(税)の減免や徴収猶予等が認められる 市区町村、
年金事務所
又は
国民健康保険組合
住居確保給付金 休業等に伴う収入減少により、離職や廃業と同程度の状況に至り、住居を失うおそれが生じている人に一定期間家賃相当額を支給 市町村の自立相談支援機関
新型コロナウイルス感染症対応休業支援金 新型コロナウイルス感染症の影響により休業させられ、休業手当の支払いを受けることができなかった労働者に対し、新型コロナウイルス感染症対応休業支援金を支給 新型コロナウイルス感染症対応休業支援金・給付金コールセンター
0120-221-276
雇用保険の
給付日数延長
2020年6月12日以降に、失業手当を受け終わる人を対象に、手当の給付を原則60日延長。4月7日以前退職は全受給者、それ以降退職者は、会社都合退職者または退職を余儀なくされた人が対象 ハローワーク
公共職業訓練
(離職者訓練)
雇用保険を受給しながら、無料(テキスト代等実費のみ負担)で職業訓練を受講 ハローワーク
求職者支援訓練 雇用保険を受給できない求職者の方は、無料(テキスト代等実費のみ負担)で職業訓練を受講しながら、要件を満たせば月額10万円の受講手当等の給付金を受け取ることができる ハローワーク

 

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『第9版補訂版 失業保険150%トコトン活用術』日向咲嗣 (著)

どうすれば一番おトクに受給できる? 2020年4月および8月施行の法改正を踏まえ、知らずに辞めると損する失業保険の最新情報を徹底解説。第9版を緊急改定した補訂版が2020年8月22日発売。

日向咲嗣/ジャーナリスト

日向咲嗣/ジャーナリスト

1959年、愛媛県生まれ。大学卒業後、新聞社・編集プロダクションを経てフリーに。「転職」「独立」「失業」問題など職業生活全般をテーマに著作多数。2015年から図書館の民間委託問題についてのレポートを始め、その詳細な取材ブロセスはブログ『ほぼ月刊ツタヤ図書館』でも随時発表している。2018年「貧困ジャーナリズム賞」受賞。

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