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小谷寿美子「薬に殺されないために」

蚊に刺されやすい人に原因?「皮膚を掻く&かゆみ止め塗らない」は細菌が全身に回る危険

文=小谷寿美子/薬剤師
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 この二次被害を回避するためには、薬を使ってある程度かゆみを抑えておくことが必要です。かゆみさえなければ皮膚を掻き壊すことがないからです。

 ここで「抗ヒスタミン薬」と呼ばれる薬を使います。免疫反応の過程でヒスタミンという物質を出します。この物質は免疫細胞が続々と集まれるように血流を上げたり、血管から免疫細胞が敵陣へ移動できるように隙間をつくったりする働きがあります。

 その一方で、ヒスタミンは知覚神経を刺激します。それが脳に伝わり、脳はかゆみを認識します。そして異物の存在を脳で認識しさらにヒスタミンを出せという指令を出します。ヒスタミン→知覚神経→脳→さらにヒスタミンという流れです。薬でヒスタミンの働きを抑えればかゆみは抑えられます。

 蚊による二次被害で問題となるのが、蚊が病気を運ぶということです。14年8月にニュースとなった「デング熱」が記憶に新しいと思います。代々木公園で蚊に刺されたことによりデング熱にかかってしまったというものです。これにより代々木公園が10月まで封鎖されました。この間、蚊を殺すために薬剤の散布が行われました。こうした対策もあり、「デング熱? そういえばそんなこともあったね」と言える状態が現在まで続いているのです。

 蚊はヒトの血管に直接針を刺して血液を吸って飛び回っているのですから、病原微生物が直接血液に届けられてしまうということを忘れてはなりません。代々木公園に限らず蚊がいそうな場所へ行くときは「虫よけ」をしっかり使っておくことが必要です。虫よけを使うことによる皮膚へのリスクと、使わなかったことによる蚊感染症のリスクを考えてください。市販で売られている虫よけは「医薬部外品」のものと「医薬品」のものがありますが、どちらも蚊には有効です。

ステロイド入りのかゆみ止めを使う時

 現在はステロイド入りのかゆみ止めが数多く発売されています。そしてテレビCMの効果もあり、馴染みが出てきて気軽に使えるようになっています。蚊の場合、何もしなくても数時間我慢していればかゆみが終わるので、「何もしなくてもいいのではないか?」と思われるかもしれません。かゆみ止めを使う目的は掻き壊しによる二次被害を防ぐことです。遅延型反応では免疫細胞による調査とミサイルの作成が始まりますので、免疫抑制作用があるステロイドが必要になります。数日遅れてかゆみがぶり返すようなときはステロイドが必須です。

 その前でも掻きたくなるようならば、初期の段階でもステロイドを使ってかゆみを抑えておくほうがよいです。「掻くなら薬を塗る」これが鉄則となります。

(文=小谷寿美子/薬剤師)

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