
永田町に渦巻く自身の健康不安説に対して、安倍晋三首相が28日の記者会見で、何を発言するのか注目が集まっている。マスコミ各社は記者会見に向けて、首相官邸関係者や自民党幹部らを血眼になって取材をしているが、27日正午現在まで、会見の内容は明らかになっていない。そんな中、神戸女学院大学名誉教授の内田樹氏が自身のTwitterアカウントに投稿した1本の記事が、現場の政治部記者の間で波紋を呼んでいる。
内田樹氏「辞意表明の確率が高く、予定稿頼まれた」
内田氏は26日、「新聞社二社から相次いで『安倍政権の総括』原稿を頼まれました。28日に辞意表明の確率が高いということでの予定稿です」(原文ママ、以下同)「村上春樹ノーベル文学賞受賞の予定稿は毎年書いてますけれど、安倍総理辞任の予定稿ははじめてです」などと投稿した。これをデイリースポーツが同日、記事『内田樹氏が明かす「安倍首相は28日に辞意表明の確率高い」として政権総括の原稿依頼』で取り上げ、拡散した。この話題は27日朝には日本国内でTwitterトレンドに入った。
これに対して、高千穂大学経営学部の五野井郁夫教授(政治学、国際関係論、平和研究専攻)は27日、次のようにTwitter上で苦言を呈した。
「なぜ内田樹氏はかように軽率なのか。この彼の一言でぶち壊しになる可能性があると考えなかったのか。浮かれてんじゃないよ。こういうことは頼まれてても黙ってるもんだよ。プロ意識が低い」
「国政報道について2紙以上+内外の通信社からのコメント要請はよくあること。だが通常解禁まで明かさない。本件で問題なのは、地道に裏取りし積み上げてきた記者らの努力を老人の虚栄心がぶち壊した点と、彼のフライング発言が官邸の翻意を惹起する可能性を招きかねない点だ。軽率の謗りを免れ得ない」
一連の投稿に全国紙記者はげっそりした表情で次のように話す。
「有識者談話の原稿を誰に依頼したのかで、社として安倍首相の会見に、どのような編集方針で臨むのかがわかってしまう話なので基本的に五野井さんのおっしゃる通り、記事公開まで内密にしていただけるとありがたいのですが……。なぜあのようなかたちで事前にツイートされたのか疑問です」
別のテレビ局記者もぼやく。
「村上春樹氏のノーベル賞文学賞受賞の予定稿が使われたためしがないので、毎回ボツになっているけれど、新聞社から予定稿の依頼が来たという記録を残されたかったということなのでしょうか……」