『半沢直樹』このシーンがあり得ない…次長が頭取や大臣と会話、金融庁監査で証拠隠滅

「半沢直樹オフィシャルサイト」より

 現在放送中で人気を呼んでいる連続テレビドラマ『半沢直樹』(TBS系)。8月23日放送回(第6話)の世帯平均視聴率が24.3%(ビデオリサーチ調べ、関東地区)という驚異的な数字をマークするなど、その勢いに衰えは見えない。前半の“電脳雑伎集団”編が終了し、第5話からは“帝国航空再建”編がスタート。最終回に向けドラマのボルテージは上がる一方だが、その内容には、銀行の内情を知る関係者から見ると疑問を感じざるを得ない部分もあるようだ。

 第6話では、帝国航空向けの債権放棄を迫る政府の方針に抗う東京中央銀行に、国土交通大臣の白井亜希子(江口のりこ)が乗り込んでくるシーンがあるが、銀行関係者はいう。

「省庁間の縄張り意識は相当なもので、金融庁の管轄下である銀行のトップに、管轄外の国交省の大臣が金融担当大臣や金融庁長官の頭越しに直接面会して何かを要請するというのは、考えにくいと思います。また、通常、大臣が企業のトップに要請や指導をする際には、省庁に企業トップを呼びつけるかたちをとります。わざわざ大臣のほうから企業に足を運ぶというのは、不自然です。

 このほか、国交相らと銀行側の頭取以下役員が会談を行う場面では、半沢が直接、国交相に向かって発言していますが、次長クラスの人間が大臣と頭取の会談に同席して、さらに大臣に対して発言までするというのは、あり得ないでしょう」

 東京中央銀行内の帝国航空再建チームに選ばれた半沢と審査部次長の曾根崎雄也(佃典彦)が方針をめぐり対立。曾根崎が半沢をチームから外そうとし、帝国航空再建を指揮する常務の紀本平八(段田安則)が、中野渡頭取(北大路欣也)の前で2人の意見を聞く場を設ける場面があるが、銀行関係者はこんな違和感を示す。

「紀本常務は半沢と曾根崎に意見を言わせ、どちらが正しいかを頭取に判断してもらうというように見えましたが、基本的に銀行の管理職は、自分の管理下で揉め事が起きているということを上司に知られたくない。管理職としての監督責任や管理能力が問われるからですが、今回のような場合、紀本常務の行動としては、曾根崎と半沢をなだめて丸く収めようとするか、もしくは逆に上には適当な理由を説明してどちらかをチームから外すというのが普通でしょう。“部下たちが対立してしまったので、頭取に2人の話を聞いてもらって判断してもらいましょう”とはならないと思います。また、メガバンクで部長の下である次長クラスが頭取と直接言葉を交わすということは、基本的にはありません」

金融庁検査で証拠隠滅?

 同じく第6話では、債権放棄に首を縦に振らない東京中央銀行に一泡吹かせるために、与党・進政党幹事長の箕部啓治(柄本明)が金融庁を動かし、東京中央銀行へ金融庁監査に立ち入らせる場面があるが、金融業界に詳しい全国紙記者はいう。

「与党幹事長は、副総裁を除けば党のナンバー2ですが、政府側の人間というよりは党のまとめ役。金融庁を動かして特定の銀行を監査させるほどの力があるかは、難しいところです。もしやるなら、党幹事長ではなく政府ナンバー2の官房長官でしょう」

 同じくこの場面について、銀行関係者はいう。

「東京中央銀行に監査に来た金融庁監察官の黒崎駿一(片岡愛之助)が、“政府のせいでいい迷惑”“過去の帝国航空への融資での不正を暴いてやる”などと、行員たちの前で監査の背景や目的をベラベラ話していますが、証拠隠滅などを避けるためにも、通常、そうしたことを銀行サイドに明かすことはしないと思います。

 銀行の入り口で頭取以下役員一同が金融庁の大勢の監査チームを出迎えたり、大きな会議室で両者の人間が向き合い派手に応酬を繰り広げたりしていますが、実際の監査はそんな大仰なことはなく、まさに“官僚仕事”といった感じで事務的に淡々と進んでいくみたいですよ。金融庁の人たちも、ドラマのように行員に対してあからさまに横柄な態度を取ったり、罵倒したり責め立てるようなことは、ほとんどありません。みなさん文字通り“役人然”としていますので」

 こうした首をかしげるシーンは、前半の“電脳雑伎集団”編でも見られたという。

半沢が出向先の東京セントラル証券の部下、森山雅弘(賀来賢人)に、ほかの客が大勢いる居酒屋で、森山が担当するIT企業スパイラルをめぐる買収計画書を見せるように言い、その場で計画書を広げて話し合いを始める場面ですが、顧客の買収計画というのは金融機関にとって機密情報の中の機密情報です。それを飲み屋で広げて話をするなんて、絶対にあり得ません。

 ちなみに、ドラマでは半沢が森山や同期の渡真利忍(及川光博)らと小料理屋であれこれと行内の情報や今後の作戦を話し合う場面がよく出てきますが、飲み屋であんな大きな声で行内のセンシティブな話をするというのも、あり得ないでしょう」(証券会社社員)

「東京セントラル証券に金融庁監査が入る回では、黒崎たちが狙うデータが閲覧されないように、半沢たちの意向を受けたスパイラルがクラウド内に侵入し、黒崎たちに開封される直前で消去することに成功して“勝ったー!”となる場面がありますが、これは証拠隠滅、検査忌避で立派な犯罪です。黒崎たちは“今回は負けた”みたいな感じですごすごと帰っていきますが、半沢は“勝ったー!”どころか逮捕されてもおかしくないんじゃないですかね」(銀行関係者)

 いずれにしても、果たして帝国航空再建をめぐり半沢は“政治”にも勝利することができるのか、次回も見ずにはいられない。

(文=編集部)

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