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川村氏は09年4月20日、社長就任の記者会見を開いた。記者から庄山=古川時代の評価を聞かれた川村氏は「健全性を欠いていた」とバッサリ切って捨てた。社長就任会見で、前任者を完全否定するのは異例である。その頃、川村氏は「日立は倒産するかもしれない」と本気で考えていた。
川村氏は子会社に転出していた中西宏明氏(現会長、経団連会長)らを副社長に復帰させるなど、6人組で日立の奇跡といわれたV字回復を成し遂げた。川村氏に引き上げられた中西氏はHGST会長の時代にリストラを強力に推進して力量を示し、本社に復帰する糸口を掴んだというエピソードが残る。11年HGSTを米社へ売却して、赤字の元凶だったHDD事業に決着をつけた。
庄山氏の最大の失敗はHDD事業を買収したことにある。日立をドロ沼に引きずりこんだ。社長としては失格だった。
会長が院政を敷く愚を不問に付すな
「企業の最高の意思決定は社長に一元化しないと、ゴタゴタが起こったり、決定が不明確になる。また、社長が先輩に遠慮して経営をやるようでは、はっきりした経営体制はとれない」
第3代社長、駒井健一郎氏の言い伝えだ。駒井氏は「重電の日立」を総合電機メーカーに発展させた功労者だ。駒井氏の発言は至言である。庄山氏は実力会長として院政を敷いた。その愚かさがわかっているからこそ、川村氏は就任にあたって会長の庄山氏に一つだけお願いした。緊急事態でもあり、経営のスピードが何よりも大事である。「私が会長と社長を兼任し、素早く意思決定できるようにしたい」と要請し、受け入れてもらった。これを機に庄山氏は経営から完全に退いた。
川村氏は旧経営陣を一掃し、会長兼社長になり権限を一元化した。これが、日立の構造改革が成功した最大の要因である。
(文=編集部)
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