
国会議員秘書歴20年以上の神澤志万です。
8月28日午後、突然の速報に永田町は騒然としました。そうです、「安倍総理が辞任の意向を固めた」という大ニュースが駆けめぐったのです。
もともとこの日は17時から記者会見が予定されていて、神澤たちは「何を話すんだろうねえ」とか「解散総選挙は遠のいた感じだよね」程度の話はしていたのですが、まさか辞任とは……。本当に、心底驚きましたよ。会見そのものはつまらなかったですけどね。
事前に情報が出すぎていて会見では新しい情報がなく、永田町の「闇」を感じました。先に報道させて、安倍晋三首相自身からは発信させない感じでした。自民党の重鎮たちの古来の手法に、気力のなくなった安倍首相は太刀打ちできなかったようですね。記者さんたちも、突然のことで服装がカジュアルな方も多かったようです。
健康不安説をめぐり永田町でも情報が錯綜
思えば、8月に入ってからは、以前から流れていた健康不安説が大きく報道されるようになっていましたね。持病の治療に「顆粒球吸着除去療法(GCAP)」を始めたことも報じられていました。GCAPは難病の原因である白血球を除去するそうで、1回の治療に1時間半、週1回で10回は行うそうです。「そうなると、公務との両立ができるのかな?」という不安の声も聞かれていました。
一方で、「治療法が合ったようで劇的に回復している。記者会見では健康不安説を一蹴するのではないか」という情報もあって、文字通りいろいろな情報が錯綜して、永田町はナーバスになっていたんです。
“石破潰し”の両院議員総会で菅総裁が誕生か
すでに、永田町は次期首相の話題でもちきりです。いつの間にか、岸田文雄政務調査会長の名前を耳にすることは少なくなっていて、菅義偉官房長官という説が有力です。一時は臨時代理説があった麻生太郎副総理は、28日夜の派閥の会合で総裁選挙への出馬を否定したようですね。
一方、岸田政調会長は出馬する意向を表明していますが、なぜこのタイミングで存在感を出せないのでしょうね。今までも何度も総裁候補として名前が挙がってきましたが、ご本人から気力を感じ取ることができません。
問題になるのは、新総裁の選出方法です。自民党幹部は、通常の総裁選ではなく、国会議員と都道府県連代表の投票で決まる両院議員総会を望んでいるようです。「政治的な空白期間を最短にしたい」という理由からです。
国会議員に加えて一般党員も参加する形の総裁選は、準備から実施までに数日かかりますし、12日間以上の選挙期間中に全国行脚で投票の呼びかけも必要です。投票は郵送になると思うので、感染症対策の問題はありませんが、どうしても時間がかかりますよね。
それに、一般党員も投票することで、石破茂元幹事長に軍配が上がる可能性があります。何度か書かせていただいていますが、石破元幹事長は一般の党員には人気があるのですが、国会議員には好かれていないのです。なぜか、党幹部はどうしても「石破総裁」を受け入れたくないんですよね。
『国会女子の忖度日記:議員秘書は、今日もイバラの道をゆく』 あの自民党女性議員の「このハゲーーッ!!」どころじゃない。ブラック企業も驚く労働環境にいる国会議員秘書の叫びを聞いて下さい。議員の傲慢、セクハラ、後援者の仰天陳情、議員のスキャンダル潰し、命懸けの選挙の裏、お局秘書のイジメ……知られざる仕事内容から苦境の数々まで20年以上永田町で働く現役女性政策秘書が書きました。人間関係の厳戒地帯で生き抜いてきた処世術は一般にも使えるはず。全編4コマまんが付き、辛さがよくわかります。
