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なぜ菅官房長官は安倍首相の進退を“読み違えた”のか?辞任会見後に岸田氏だけが官邸入り

文=編集部
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菅義偉官房長官(写真:ロイター/アフロ)

 憲政史上最長の政権を支えてきた菅義偉内閣官房長官がそこまで言うのなら、続投で間違いないのではないか――。そう思った人も多いに違いない。

 8月27日に公開された米国メディア「ブルームバーグ」のインタビューで、菅官房長官は安倍晋三首相の体調について「1日2回程度お会いするが、変わらない」と語っており、任期を全うするかについて「もちろんそうだ」と断言していた。また、自身が“ポスト安倍”の有力候補とされることについては「何回聞かれても、全く考えたことはない」「(自民党総裁の任期まで)まだ1年もある話だ」と述べている。

 安倍首相の記者会見が予定されていた翌28日も、菅官房長官は午前中の記者会見で「(安倍首相の体調は)毎日お目にかかっているが、変わりない様子だ」と語っていた。メディア各社の報道も、27日までは「続投を表明へ」という論調の記事が大半を占めていた。

不仲説も流れた安倍首相と菅官房長官の関係

 しかし、菅官房長官が安倍首相の体調に太鼓判を押した数時間後には、辞任を伝える速報が日本中を駆けめぐった。なぜ、真逆の事態が起きたのだろうか。

「大前提として、仮に首相に辞任の意向があることを知っていたとしても、それを先に漏らすというのはあり得ない。そのため、立場的に続投を示唆する言動に不可解な点はないものの、今回の決断は与党幹部にも事前に知らされていなかったそうですから、本当に続投すると思っていたのかもしれません。首相自身も、病院を再訪した24日に『体調管理に万全を期して、これからまた仕事にがんばりたい』と意欲的な発言をしていましたからね。

 ただ、菅官房長官が断言に近い形で首相の続投を示唆していた点が気になります。自民党の新総裁、つまり次期首相の候補として急浮上している菅官房長官は、ここ最近、政局がらみで強めの発言が目立っていたからです」(政治記者)

 今秋の衆議院解散・総選挙が取り沙汰されていた7月30日には、TBSのCS番組の収録で、菅官房長官は「総理大臣の専権事項」と前置きした上で、「新型コロナウイルスの問題がこのような状況では、なかなか難しいのではないか。『とにかくコロナに専念してくれ』『これ以上の拡大は何としても避けてほしい』というのが国民の声ではないか」と踏み込んだ発言をしている。

 これについて、政治コラムニストの後藤謙次氏は「週刊ダイヤモンド」(8月22日号/ダイヤモンド社)の連載で、「ここまで官房長官が言い切るのは極めて異例」と言及し、「安倍から『解散なし』を直接聞かされている可能性」を指摘している。

 また、安倍首相は月刊誌「Hanada」(9月号/飛鳥新社)のインタビューで、菅官房長官について「(ポスト安倍の)有力な候補者の一人であることは間違いない」と援護射撃とも取れる発言をしている。

「一時は不仲説も流れましたが、安倍首相と菅官房長官が気脈を通じているとなれば、辞任の意向を事前に知らせなかったというのは考えづらい。あるいは、この短期間に2人の関係に何か異変が起きたという可能性も捨てきれませんが……」(同)

 また、前述の番組収録で、菅官房長官は自民党の二階俊博幹事長について「政局観、政治観がずば抜けている」「本当に頼りになる幹事長だ」と賛辞を贈っている。一方の二階幹事長も、8月3日の記者会見で「(菅官房長官は)しっかり務めておられると思う。大いに敬意を表している」と述べており、いわば互いに持ち上げている格好だ。

 それらの背景を踏まえて、後藤氏は前述の連載で「水面下でひそかに連携を取ってきた『二階・菅ライン』が一気に表に出てきた観がある」という見解を示している。

「自民党は28日の臨時役員会で、ポスト安倍を決める総裁選のやり方については、その二階幹事長に一任することを決定しました。さまざまな事情から、党員・党友の投票を省いた両院議員総会での選出が濃厚とみられています。そうなると、党員人気の高い石破茂元幹事長には不利に働く。残る有力候補は岸田文雄政調会長と河野太郎防衛相ですが、これは各派閥の動きに左右される面が大きい。

 いずれにしろ、誰が就いても新総裁の任期は2021年9月までなので、現時点では“つなぎ”のトップということになります。二階幹事長が主導権を握る以上、安倍政権の延長線上で安定路線という意味でも、菅総裁が誕生する可能性は高いのではないでしょうか」(同)

 一方、安倍首相は8月28日の会見後、次期総裁候補の中で唯一、岸田政調会長と官邸で面会(27分間)している。自身の言葉で正式に辞意を表明した後に、かねてから“禅譲説”が囁かれる岸田政調会長と会ったということは、何を意味するのか。

 新総裁は9月中旬に決まる見通しだというが、果たして誰が就くのだろうか。

(文=編集部)

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