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江川紹子の「事件ウオッチ」第159回

次期首相には、検証と分析から逃げない人を…安倍政権退陣にあたって江川紹子の考察

文=江川紹子/ジャーナリスト

 今のところ、安倍首相の戦略は成功している。

 ネットには、記者会見で私を含めた記者たちが、安倍首相に感謝やねぎらいの言葉をかけなかった、という非難の声があふれている。私のTwitterにも、その種のクレームが山ほど来た。

 海外の首脳からも、安倍首相の功績や人柄をたたえ、惜しむ声が続々と寄せられ、それが報じられている。

 リアルの世界でも、安倍首相の好感度は高まっている。週末の世論調査では、低迷していた内閣支持率が急上昇した。日経新聞の調査では前回(7月)に比べ12ポイント、共同通信の調査では20ポイント近くも跳ね上がった。この“餞別効果”は自民党にも波及し、政党支持率が日経調査で前回の41%から47%へ、共同調査では32.9%から45.8%とアップした。

 これを見ていると、次期首相が早期に衆議院解散を行えば、いわば安倍氏への“はなむけ選挙”となり、自民党が大勝する、という筋書きもあり得るかもしれない。そうなれば、今後の政治に安倍氏は強い影響力を維持するだろう。

 ただ、今後の政局がどうなろうとも、これまでの安倍流政治では、このコロナ禍に十分対応できなかったこと、経済再生もおぼつかない状況であることは、忘れてはならないと思う。

 その原因はどこにあるのか。次の官邸の主は、こうした検証と分析から逃げない人であってもらいたい。安倍首相が辞めても、コロナ禍は続くのだから。

(文=江川紹子/ジャーナリスト)

●江川紹子(えがわ・しょうこ)
東京都出身。神奈川新聞社会部記者を経て、フリーランスに。著書に『魂の虜囚 オウム事件はなぜ起きたか』『人を助ける仕事』『勇気ってなんだろう』ほか。『「歴史認識」とは何か – 対立の構図を超えて』(著者・大沼保昭)では聞き手を務めている。クラシック音楽への造詣も深い。

江川紹子ジャーナル www.egawashoko.com、twitter:amneris84、Facebook:shokoeg

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