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南清貴「すぐにできる、正しい食、間違った食」

新型コロナ、ワクチンや治療薬を待つのは非合理的…感染を防ぐのは不可能、免疫を高めよ

文=南清貴/フードプロデューサー、一般社団法人日本オーガニックレストラン協会代表理事
「Getty Images」より
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 東京をはじめ名古屋、大阪、博多でも、地下鉄などに乗ると、すべての乗客がしっかりマスクをし、誰とも話さず、ほぼ全員がじっとスマホと向き合っています。その光景が、もうすでに異常です。

 筆者は外を歩く時はマスクをしないため、電車に乗ってもうっかりマスクをし忘れることが、ままあります。どこからともなく視線を感じ、はっと気づいて、慌ててマスクをするにはするのですが、どっちみち効果がないということがわかっているので、また次の機会には忘れてしまうこともあります。

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 いらぬトラブルは避けたいので、効果があるなしにかかわらず、マスクくらいはしようとは思っているのですが、なかなか徹底できません。トイレで用を足した時とか、家に帰った時には念入りに手を洗いますが、これは飲食業を営んでいた時の癖で、ことさら感染症予防のためにしているわけではありません。

 言い方に気を付けなければなりませんが、はっきり言ってウイルスから完全に逃れることはできません。いかにソーシャル・ディスタンスをきちんととろうとも、手洗い・うがいを励行しようとも、換気をし続けようとも、そしてマスクを着用しようとも、ウイルスから完全に身を守ることはできません。無駄とは言いませんが、予防効果についてはあまり期待しないほうがいいでしょう。

 メディアでは、ワクチンや治療薬ができなければ打つ手がないので、上記のような予防策を講じようと言っていますが、それらの手段はすべてウイルスにとっては敵とはなりえません。

 ウイルスにとって最大の敵は、人間の免疫力です。ウイルスを恐れて感染しないように手立てを加えるより、もしかしたら、いつかどこかで感染することを前提として、それでも重症化することのないように工夫をしたり備えたりするほうが合理的なのかもしれません。

免疫力を高める方法

 COVID(コビット)-19に関していえば、病原性という点ではSARS(重症急性呼吸器症候群)や、MERS(中東呼吸器症候群)のウイルスよりは弱いというのが定説になりつつあるようです。この3つともコロナウイルスが病原体で、COVID-19はかなりSARSに近いようですが、感染力という点ではSARSやMERSよりも強いと考えられています。ウイルス感染は、ご存じのように飛沫感染、接触感染、空気感染がありますが、これを完全に防ぐことは至難の業です。ほぼ無理と考えたほうがいいでしょう。

 ではどうするべきか。その答えは、「自分の免疫力を高める」です。免疫力を高める方法は、ただひとつ。食事の内容をレベルアップする。これのみです。言うまでもないことですが、レベルアップするというのは、高級な食材を使うことでもなければ、高級なレストランで食事をすることでもありません。よく、十分な睡眠をとるとか、適度な運動をするとも言われますが、そしてこれらはとても重要なことではあるものの、免疫力を高めることには役立ちません。ただ、高まった免疫力を維持することはできます。

 免疫力を高める食事に関しては、本連載でも紹介していますし、筆者が主宰するJORA一般社団法人 日本オーガニックレストラン協会)では『免疫セミナー(全4回)』を動画配信しているので、参考にしていただきたく存じます。1回目から3回目までは免疫のメカニズムについてと、それを高める食事内容について、そして4回目は、免疫力を高めるエクササイズについて教えています。

 その基本を踏まえた上で特段、強調しておきたいのは、植物栄養素をたっぷり摂取しなければならない、ということです。私たちの体が必要としている栄養素は、大別して2つあり、ひとつは生きるために不可欠である「必須栄養素」で、もうひとつは健康のレベルを上げるために必要な「植物栄養素」です。なぜ植物栄養素が必要になるのかと言いますと、ほとんどの植物栄養素が「抗酸化作用」を持ち合わせているからです。その抗酸化作用が体の酸化を防ぎ、私たちの体を守り、結果的に免疫力を高めるのです。

 夏は、いろいろな種類の野菜が登場し、旬の時期を迎えます。しかもカラフルな色合いで私たちを楽しませてくれます。今年は大雨の被害などもあり、地域によっては収穫量に不安を抱えているところもあることと思いますが、可能な限り多種類の野菜を食べるように心がけていただきたいと思います。

 植物栄養素は、太陽光線や有害化学物質から身を守るために、植物が自らつくり出す化学物質です。そのため植物栄養素(ファイトニュートリエント)は、植物化学物質(ファイトケミカル)と呼ばれる場合もあります。

 その植物栄養素の力を、私たちは頂いているのです。これに関しては『植物はすごい』(田中修/中公新書)という本を推薦したいと思います。

 いずれにしても私たちは、この先も長きにわたってウイルスや細菌などと戦って、常に人類全体として勝ち続けなければならないのです。そのためには免疫力を高める、言い換えれば私たち人間にとって最適な(オプティマルな)食事が、どのようなものであるかを考え、それを実践し続けていかなければならないと、筆者は考えています。
(文=南清貴/フードプロデューサー、一般社団法人日本オーガニックレストラン協会代表理事)

南清貴

南清貴

フードプロデューサー、一般社団法人日本オーガニックレストラン協会
代表理事。舞台演出の勉強の一環として整体を学んだことをきっかけに、体と食の関係の重要さに気づき、栄養学を徹底的に学ぶ。1995年、渋谷区代々木上原にオーガニックレストランの草分け「キヨズキッチン」を開業。2005年より「ナチュラルエイジング」というキーワードを打ち立て、全国のレストラン、カフェ、デリカテッセンなどの業態開発、企業内社員食堂や、クリニック、ホテル、スパなどのフードメニュー開発、講演活動などに力を注ぐ。最新の栄養学を料理の中心に据え、自然食やマクロビオティックとは一線を画した新しいタイプの創作料理を考案・提供し、業界やマスコミからも注目を浴びる。親しみある人柄に、著名人やモデル、医師、経営者などのファンも多い。

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