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『半沢直樹』ロスを解消する驚異の激似映画『七つの会議』…香川照之、及川光博ら総出演!

文=峯岸あゆみ
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2020年8月に講談社より刊行された『日曜劇場 半沢直樹 公式ブック』

 2020年に放送された全ドラマのトップとなる高視聴率を稼ぎ、再びブームを巻き起こした堺雅人主演作『半沢直樹』(TBS系)が、○月○日の放送で、いよいよ最終回を迎える。

 前作(2013年放送)からのファンは続編製作まで実に7年も待たされ、さらにコロナ禍で3カ月のお預けを食らうことになった。だが、毎回の怒涛の展開に、“始まってみれば最終回まであっという間だった”と実感している人も多いのではないだろうか。また、そうした視聴者は今後、しばらくの間“半沢ロス”に陥ることになるのだろう。

 ここでは、そんなロスを埋めるのにもっとも適した作品を紹介したい。2019年に公開された『七つの会議』という映画だ。この作品、あらゆる部分で『半沢直樹』とカブりまくっている。しかも、それは安易なパクリや便乗ではない。この2作品は、兄弟姉妹のような関係なのだ。

 ご覧になっている半沢ファンの方も少なくないだろうが、未見の方のために、この『七つの会議』は、どんな点がどのようにカブッているのか、まとめてみよう。

杏、唐沢寿明、阿部寛が主演のポスト半沢作品との相違点

『半沢直樹』の2013年版は、最終回に42.2%(ビデオリサーチ調べ、関東地区)を稼ぎだすメガヒット作となった。これを受けて、テレビ界ではその後、同作を意識した作品がいくつも放送されている。

 13年版『半沢直樹』終了直後にフジテレビ系でスタートした、堺雅人主演の『リーガルハイ』(第2シリーズ、フジテレビ系)は、『半沢直樹』視聴者の取り込みを狙い、パロディ的なセリフを用意するなどした。

 2014年4月から放送された杏主演『花咲舞が黙ってない』(日本テレビ系)は、原作が『半沢直樹』と同じ池井戸潤の小説であり、舞台は銀行で、主人公は正義感が強いキャラクターという共通点があった。また、登場する銀行名は、「東京第一銀行」という、半沢直樹の勤務先の前身(東京第一銀行と産業中央銀行が合併して東京中央銀行に)と同じなのである。当時の「女性版半沢直樹」との一部報道は、関係者の狙い通りだったのだろう。

 もちろんTBSも、“第2の半沢直樹”を狙った作品を製作している。2014年4月放送開始の唐沢寿明主演『ルーズヴェルト・ゲーム』と、2015年10月放送開始の阿部寛主演『下町ロケット』だ。この2作品は、『半沢直樹』と主要スタッフ、放送枠が同じで、いずれも池井戸潤の小説を原作とした、企業が舞台の群像劇だった。

 視聴率面でも健闘した両作だったが、『半沢直樹』とは根本的な部分で異なっていた。それは、「主人公が上司や権力者の不正を正す物語」ではないという点である。従って、視聴に際しもたらされるカタルシスもまた、『半沢直樹』とは色合いの異なるものだった。

 そこで、本稿のテーマである『七つの会議』である。この映画は、ベースとなる構造までもが、『半沢直樹』と重なっているのだ。

原作、スタッフ、基本構造が『半沢直樹』と重複

 2019年2月に東宝系で公開された『七つの会議』は、池井戸潤の同名小説が原作で、新旧の『半沢直樹』で演出を務めたTBSのディレクター・福澤克雄が監督を務めている。福澤監督こそ、『半沢直樹』独特のあの“時代劇風演出”をつくり上げた人物である。また『七つの会議』の脚本は、『半沢直樹』20年版と同じ丑尾健太郎だ。

『七つの会議』は大企業を舞台とした群像劇であり、親会社と子会社のシビアなパワーバランス、子会社における親会社からの出向社員とプロパー社員との関係、会社に不都合な社員が左遷させられる展開など、『半沢直樹』でも描かれるギミックがいくつも登場する。

 そして何より、『ルーズヴェルト・ゲーム』と『下町ロケット』にはなかった、企業の不正を主人公やその仲間たちが暴いていく……という物語構造上の類似した流れがある。

 堺雅人演じるキレキレの半沢直樹とは違い、主演である野村萬斎が演じる、「東京建電」の営業一課万年係長・八角民夫は一見、ノラリクラリとした人物。しかし、イザとなったときのキレ味は抜群であり、そうしたシーンで野村が見せる芝居は、『半沢直樹』のキャラクターに通じる時代劇風である。

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2019年に発売された『七つの会議』( TCエンタテインメント)DVDジャケット。“半沢感”がハンパない、豪華な顔ぶれ!

香川照之、及川光博ら計9名がスライド出演

 そして、『七つの会議』の、他の“『半沢直樹』と似て非なる作品”との最大の相違点が、主要人物から端役に至るまで、『半沢直樹』でお馴染みの俳優陣が固めている点である。

 まず、「東京建電」の営業部長が香川照之だ。あの、「東京中央銀行」の大和田同様、パワハラ体質がある狡猾な上司として登場する。

 片岡愛之助が演じるのは営業一課の課長、つまり八角の直属の上司に当たる人物だ。金融庁の検査官・黒崎とは大きく異るキャラであり、男性部下の股間を握りつぶしたりはしない。

 また、営業第二課の課長役は、及川光博が軽妙に飄々と演じている。こちらは半沢の盟友・渡真利忍とそれほど変わらない、“いつものミッチー”といった感じである。

 そして、「東京建電」の親会社「ゼノックス」の社長役として登場するのが、北大路欣也だ。言葉少なく、自分の腹のなかを見せないあたりは、「東京中央銀行」の中野渡頭取に近いキャラクターだ。

 こうした主要キャストだけでも“半沢感”がハンパないが、とにかく2013年版に出演した俳優たちが次々に顔を出すのが楽しい。「東京中央銀行」秋葉原東口支店のイヤミな支店長・小木曽を演じた緋田康人、半沢に協力する竹下金属社長役の赤井英和、半沢花(上戸彩)のフラワーアレンジメントの先輩を演じた吉田羊(20年版にも登場)、狡辛い「淡路鋼材」社長役の岡田浩暉、東京中央銀行大阪西支店融資課の一員を演じた須田邦裕といった面々だ。その他、劇中では『半沢直樹』ファンへのサービスのような小ネタも仕掛けられている。 

“半沢ロス”を埋めるのにこれ以上適した作品はナシ

『七つの会議』は映画である以上、尺が長く、単純明快さの面でテレビドラマである『半沢直樹』に劣るかもしれない。何より堺雅人は出ていないし、野村萬斎は「倍返しだ!」とは言わない。

 だが、『七つの会議』は、すべての『半沢直樹』に似て非なるもののなかで、もっとも近いところに位置する作品であることは間違いない。『半沢直樹』との類似性を抜きにしても楽しめるが、“半沢ロス”の、取り急ぎの“応急処置”としての鑑賞もオススメである。

峯岸あゆみ/ライター

峯岸あゆみ/ライター

CSと配信とYouTubeで過去のテレビドラマや映画やアイドルを観まくるライター。ベストドラマは『白線流し』(フジテレビ系)、ベスト映画は『ロックよ、静かに流れよ』(1988年、監督:長崎俊一)、ベストアイドルは2001年の松浦亜弥。

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