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木村隆志「現代放送のミカタ」

大好評で最終回を迎える『私の家政夫ナギサさん』にモヤモヤしてしまう理由

文=木村隆志/テレビ・ドラマ解説者、コラムニスト
大好評で最終回を迎える『私の家政夫ナギサさん』にモヤモヤしてしまう理由の画像1
火曜ドラマ『私の家政夫ナギサさん』|TBSテレビ」より

 評判のよさでは、あの『半沢直樹』(TBS系)に勝るとも劣らない。視聴率も右肩上がりで前回放送の第8話は16.7%と自己最高を記録(ビデオリサーチ調べ、関東地区)するなど、事前予想を超えるヒット作となった『私の家政夫ナギサさん』(TBS系)。

 その第8話は、ラストシーンで相原メイ(多部未華子)が鴫野ナギサ(大森南朋)に突然、「私たち、結婚しませんか?」というまさかのプロポーズをして、視聴者を大いに驚かせた。

 そして、9月1日の放送は最終話を迎える。ネット上には早くも「ロス」を嘆く声のほか、さまざまな結末の予想が飛び交っているが、ここでは一足先に『私の家政夫ナギサさん』がどんな作品だったのか、フラットな視点から掘り下げていきたい。

メイは共感できるキャラクターなのか

 最終話で描かれるのは、4日間のトライアル結婚生活。予告映像には、メイとナギサが朝晩の見送りと出迎えなど、新婚生活のシミュレーションをするシーンがあり、幸せそうな様子がうかがえる。

 しかし、その一方でナギサが田所優太(瀬戸康史)から「きっぱりあきらめてください」と言われるシーンや、「やはり結婚の話はなかったことにさせてください」という書き置きを残して去るシーンもあるなど波乱含みだ。

 ただ、「ほとんど恋愛感情のない状態から、ヒロインがいきなり結婚を提案する」という展開は、『逃げるは恥だが役に立つ』とほぼ同じ。家事をする性別が男女逆転しているだけで、2人の穏やかなキャラクターも含めて、大半の人があの『逃げ恥』を思い出したのではないか。両作は同じ「火曜ドラマ」で放送されていることもあり、この一致は確信犯と言っていいだろう。

 とはいえ、当作は『逃げ恥』と比べると、脚本の粗さを感じる点が少なくない。たとえば、「メイは本当に素敵な女性として描かれているか?」といえば疑問符がつく。

 医師の肥後菊之助(宮尾俊太郎)からの告白に対する返事をさんざん待たせた挙げ句、レストランでの食事中にあっさり断ってしまった。さらに田所の告白にも返事をしないまま、ナギサにプロポーズしてしまう……。何より、これまでほとんど素振りを見せなかったにもかかわらず、いきなりのプロポーズは強引で相手の気持ちを考えたものとは思えないものだった。

 また、家事が苦手なのはいいとしても、「すべての時間を仕事に捧げる」というワーカホリックなキャラクターは、働き方改革やワークライフバランスが叫ばれる現状からはズレていて、同年代の共感を得られるとは思えない。その仕事も「どのように優秀なのか?」「なぜリーダーなのか?」の答えとなるシーンはほとんどなく、最終話まできてしまった。

 メイは「等身大の28歳女性」というには、恵まれすぎであり、演じる多部の好感度によるフォローが大きいように見える。

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