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渡辺陽一郎「いちばん詳しい『人気の新車』完全ガイドシリーズ」

日産のコンパクトSUV「キックス」は“買い”なのか?e-POWERの走りの良さと低燃費も魅力

文=渡辺陽一郎/カーライフ・ジャーナリスト
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日産の「キックス」(「日産:キックス [ KICKS ] 電気自動車 (e-POWER) TOP」より)

どんなクルマなのか?

 日産自動車キックス」は、2020年6月に発売されたコンパクトなSUVです。今は海外を含めて、SUVが人気を得ています。また、日本では全長が4400mmを下回る比較的小さなクルマが売れ筋です。そのために、SUVでサイズの小さなキックスは注目度の高いクルマになりました。

 ちなみにキックスの導入前は、日産はコンパクトSUVとして「ジューク」を販売していました。ジュークも人気車でしたが、後席と荷室が狭い欠点もありました。そこでジュークよりも車内が広く、ファミリーカーとしても使いやすいキックスに切り替えたのです。タイで生産された車両を輸入しています。

人気を得ている理由

 キックスは全長が4290mm、全幅は1760mmとコンパクトです。駆動方式は前輪駆動の2WDのみで、4WDは選べませんが、最小回転半径は5.1mだから小回り性能は良好です。混雑した街中でも使いやすいです。外観は大きなグリルを装着するなど、日産車の特徴とSUVの力強さを表現しました。ボディスタイルから運転のしやすさまで、日本での使われ方に適したクルマづくりをしています。

 そして、海外版キックスはノーマルエンジンが主力ですが、日本仕様はハイブリッドのe-POWERのみです。モーター駆動による走りの良さと低燃費も、キックスが注目されている大切な理由です。

気になる8つのポイントチェック&星取り採点

(1)居住空間の広さとシートの座り心地

★★★☆☆

 全長が4300mm以下のSUVとしては、前後席とも相応の広さを確保しました。4名で長距離を移動できます。

(2)荷物の積みやすさとシートアレンジ

★★★★☆

 荷室の奥行寸法は、後席を使った状態で900mmです。コンパクトサイズのわりに積載容量には余裕があります。

(3)視界や小回り性能など運転のしやすさ

★★★★☆

 ボディ後端のピラー(柱)が太めでななめ後方の視界は不満ですが、SUVではボディが小さく小回りも利きます。

(4)加速力やカーブを曲がるときの安定性

★★★★☆

 動力性能に余裕があります。全高が1600mmを超えるコンパクトSUVでは、操舵感に鈍さはなく安定性も良いです。

(5)乗り心地と内装の質感などの快適性

★★★☆☆

 乗り心地は低速域では少し硬めですが、粗さは抑えました。内装もステッチ(縫い目)を使って相応に上質です。

(6)燃費性能とエコカー減税

★★★★☆

 WLTCモード燃費は21.6km/L。2.7Lエンジンに匹敵する加速性能を考えると、燃料消費量を抑えました。

(7)安全装備の充実度

★★★★☆

 歩行者を検知できる衝突被害軽減ブレーキ、サイド/カーテン/ニーエアバッグ、運転支援機能も装着しました。

(8)価格の割安感

★★★☆☆

 輸入車とあって、グレード構成はシンプルです。2WDでe-POWERを搭載して、Xの価格は275万9900円です。

選ぶときに確かめたい3つのメリット

・ボディがコンパクトで運転しやすく、前後席の乗降性も良いので使いやすいです。

・荷室の奥行に900mmの余裕があり、荷室幅も最大値は1200mm以上に達します。

・e-POWERはモーター駆動で加速がなめらか。巡航中の加速では瞬発力が強いです。

後悔しないための3つの要チェックポイント

・4名乗車は可能ですが、荷室を広げた結果、後席の足元空間が少し狭いです。

・ボディ後端のピラーが太めなので、車庫入れや縦列駐車で後方視界を確認します。

・輸入車なのでグレードが限られ、装備を充実させたから価格が高まりました。

こんなユーザーにおすすめ

 ファミリーカーとしても使えますが、後席よりも荷室の広さに重点を置いています。その意味では、2名で乗車して荷物を積む使い方に適しています。若いファミリーと、子育てを終えた後の中高年齢層を狙って開発されました。

今後のモデルチェンジ予想

 発売されたのが2020年6月なので、当分の間は大きなモデルチェンジを行いません。ただし、1.5Lのノーマルエンジンを搭載した価格の割安なグレードを追加する可能性はあります。また、オプション設定されるインテリジェントアラウンドビューモニターなどを割安に標準装着した特別仕様車を追加することも考えられます。

最近の販売状況と安く買うための商談方法

 タイ製の輸入車とあって納期は長めです。販売店によると「短ければ2カ月ですが、ツートーンの外装色を選んだりすると、最長では5カ月くらいに延びることもあります」とのことです。つまり、2020年9月上旬に契約しても納車が2021年にズレ込むことが考えられます。また、ホンダ「ヴェゼル」やトヨタ自動車「C-HR」のハイブリッドなど、ライバル車と購入条件を比べて買い得度を判断しましょう。

リセールバリュー/数年後に売却するときの価値

 今はコンパクトSUVの人気が高く、キックスは設計も新しいです。そのために、数年後に売却するときの条件にも期待が持てます。残価設定ローンの見積りを見ると、3年後の時点で新車時の50%と好条件ですが、これでも少し控えめです。キックスは購入しやすいコンパクトSUVですが、価格のわりに高い金額で売却できます。

これが結論!/このクルマの総合評価&コメント

★★★★☆

 キックスは売れ筋カテゴリーのコンパクトSUVとあって、購入を検討している方も多いと思います。販売店で試乗したときは、車庫入れや縦列駐車のしやすさ、時速50km以下の乗り心地、後席の足元空間など、欠点になりやすい機能を確認します。そこに不満がなく、なおかつ270万円を超える価格にも対応できるのであれば、選ぶ価値の高いクルマです。

 予算が超過しそうなときは、8月末に発売されたトヨタ「ヤリス クロス」も検討しましょう。ヤリス クロスは、販売店では7月下旬から価格を明らかにして予約受注を行っており、キックスX(275万9900円)に相当する2WDハイブリッドZの価格は258万4000円です。キックスに比べて後席と荷室は狭いですが、価格も約18万円安いので、予算に収まりやすいでしょう。

 コンパクトSUVでは各メーカーが買い得度の高いクルマをそろえており、販売促進を図るために、ディーラーオプションのサービス、残価設定ローンの低金利なども行っています。購入する車種を、条件を比べて判断すると良いでしょう。

(文=渡辺陽一郎/カーライフ・ジャーナリスト)

渡辺陽一郎/カーライフ・ジャーナリスト

渡辺陽一郎/カーライフ・ジャーナリスト

1961年生まれ。神奈川大学卒業。1985年に自動車雑誌を中心に扱うアポロ出版株式会社に入社。その後、同社で複数の自動車雑誌やアウトドア雑誌を手掛け、1989年に自動車購入ガイド誌「月刊くるま選び」の編集長に。1997年にはアポロ出版株式会社の取締役も兼任。2001年6月に40歳を迎え、同月に「カーライフジャーナリスト」の肩書でフリーランスに転向。

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