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ヤフオク、自衛隊の演習弾やPKO戦闘服が販売…外交問題に発展の懸念、防衛省が調査へ

文=編集部
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ヤフーオークションより

「自衛隊個人携帯対戦車弾 パンツァーファースト3 110RJM18 演習弾 インテリア置物」(1万5000円)

陸上自衛隊84ミリ無反動砲演習弾使用済み インテリア 置物ジャンク」(1万2000円)

「陸上自衛隊PKO戦闘服一般用上衣」(2万9800円)

 そんな、ぎょっとする商品が3日、ヤフーオークションに出品されていることがわかった。他国の軍隊のデッドストックの軍服や実弾演習で使用した薬きょうなどが、ミリタリーグッズショップなどで並ぶことは多々あるが、自衛隊の装備品は防衛機密の絡みもあって、これまで国内市場ではほとんど出回ることはなかった。

 折しも防衛装備庁・自衛隊は7月26日、不用になった防衛装備品の初のオークションを開催し、航空自衛隊パイロットのヘルメットと酸素マスクのセットが66万円で高額落札されるなどして話題を集めていた。防衛装備庁のプレスリリースには次のように記載されていた。

「中期防衛力整備計画に定められた『収入の確保』に資する取組として、防衛力整備のための実質的な財源の確保を目的とし、『せり売り』(いわゆるオークション)の方法により、物品の売払いを行います。『せり売り』とは、これまで、鉄くず・廃棄物として売払い又は処分していた防衛省の物品について、せりにかけることで、可能な限り高額で売払い、収入の確保に貢献していくための取組です」

国連平和維持活動の戦闘服は悪用されると外交問題に

 今回、当サイトがヤフーオークションで確認した「対戦車弾」と「無反動砲弾」はどちらも演習弾でかつ使用済みのものだ。仮に本物だとしても安全性に問題はない。上記のプレスリリースでも記載されている「鉄くず」「廃棄物」として売り払うか、処分されたものが何らかのルートを通じ、ヤフーオークションで転売されていた可能性が高い。

 「PKO戦闘服」には日章旗とともに、正式な国連旗が記章として縫い込まれている。内側には「陸上自衛隊」「物品番号8415‐162‐1402‐5」「契約者(株)クラレ」「縫製業者 千代田(株)」などと記載されたタグも縫い付けられていた。一般的な迷彩服ならまだしも、国際機関の所属であることを示す制服は、紛争当事国に渡れば悪用される危険性がある。国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)の関係者は次のように語る。

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出品された国連旗と日章旗が縫い付けられた戦闘服

「1992~95年のボスニア・ヘルツェゴビナ紛争では、現地に展開していた国際連合保護軍(UNPROFOR)が武装勢力の捕虜になった際にブルーフラッグ(国連旗)のついた戦闘服を奪われ、避難しようとした住民を信じ込ませた上で虐殺が行われた例もあります。ブルーヘルメットや軍服が、仮にどこかの武装勢力に渡り、国連を騙る軍隊が編成され、非人道的な事件を起こせば外交問題になります。

 国連は国連旗章が使用されている装備品の扱いに注意するよう各国に伝えていますが、最終的には各国の部隊が責任をもって管理を行うことになっています。

 国連の平和維持活動にはさまざまな賛否はあるものの、紛争当事国や発展途上国では現地の警察官の制服と以上に信用のあるものです。それが日本の陸上自衛隊ならなおさらです。これまで、フランス軍や中国軍、アフリカ諸国軍などが国連平和維持活動で使った戦闘服が不当に転売さている噂はよく耳にしますが、自衛隊の物品も流れているのなら少しショックです」

防衛省陸上幕僚監部「本物であれば間違いなく問題」

 いずれにせよ一連の装備品の財源は元をただせば我々の税金だ。付加価値があるからといって、ゴミとして処理を求められた業者などがヤフーオークションに転売して利益を出してもいいのだろうか。また、防衛省や自衛隊の規則的に問題はないのだろうか。

 防衛省陸上自衛隊陸上幕僚監部広報室は次のよう話している。

「出品されているものが、本当に演習で使用された実物かどうかは、オークションの情報だけでは確認が取れませんが、本物だとすれば間違いなく問題があります。以前、訓練用の戦闘糧食の転売があった際も、関係者を処分しました。本来、公務である演習において自分で食するはずのものを転売して不当に利益を得ていることになったためです。

 今回の打ちガラは自衛官が個人で持ち帰って転売しているのか、処分先の業者が販売しているのか、もしくは演習場が一般開放された際に一般の方が見つけて持ち帰られたのかは定かではありませんが、事実関係を関係部署に伝え、調査させていただくことになると思います。国連旗は本来、わが国のものではありませんが、戦闘服が本物であるかをまず調べる必要があります」

(文=編集部)

BusinessJournal編集部

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