「市内全域でデリバリー三鷹のサービスを開始したのは7月20日からですが、当初は個人経営の飲食店を支援することを主眼にしていました。しかし、コロナでアルバイト先がなくなって困窮している学生などに働いてもらうことにより、結果的に学生の金銭的な支援も兼ねることになりました」

 ウーバーイーツは手軽に始められる副業としてもてはやされているが、その一方で就業中の事故・トラブルは自己責任。デリバリー三鷹はそうした部分にも配慮し、地元の警察署と連携。デリバリースタッフに交通安全講習を受講させるなど、安全対策を強化している。また、ウーバーイーツには低賃金労働との批判が絶えないが、デリバリー三鷹の配達員は時給1400円。それでいて、デリバリーを頼む飲食店は手数料も配達料も負担ゼロ。これらは、すべて事業者支援・困窮学生支援の名目で三鷹市が負担している。デリバリー三鷹を利用しているのは居酒屋や食堂のほか、パン屋、弁当屋など幅広く、市内35店舗にのぼる。

日野市、キッチンカー無料貸し出し

 三鷹市が取り組むデリバリー事業に続くのが、東京都日野市のキッチンカーなどの無料貸し出し事業だ。日野市企画経営課の担当者は言う。

「予算の関係上、市議会の議決を経る必要があるために事業の開始は11月からを予定しています。車内で調理が可能な、いわゆるキッチンカーだけではなく、パンや弁当、ドリンク・菓子類などを販売する移動販売車なども含めて、無料で貸し出しする事業です」

 ランチタイムに駅前や人が多く集まる公園・オフィスビル前といったスペースにキッチンカーが並ぶ光景は、いまや当たり前になりつつある。昼にキッチンカーで稼ぎ、夜は実店舗で稼ぐ。日野市の無料貸し出し事業は、この二毛作を推進させることが目的で、少しでもコロナによる売上不振をカバーしてもらおうというもの。飲食店にとってキッチンカーの導入費用がネックになっていた。キッチンカーは標準化されているとはいいつつも、調理機材・スペースなどをカスタマイズしなければならず、改造費などで値段が張る。

「キッチンカーを無料で貸し出すことによって、飲食店などが試験的に移動販売などをできるようになります。無料貸し出しは経営面をサポートすることが主眼ですが、従来とは違った場所で営業して、新たな顧客層を開拓してもらうことも狙いに含んでいます」(日野市企画経営課)

 行政がウーバーイーツに対抗するような施策を打ち出すのは、ウーバーイーツが売り上げを拡大させても地元の飲食店には還元されていないことが大きいからだ。行政がサポートしてテイクアウト・キッチンカー・移動販売などを始め、それが店の利益を少しでも増やす。そうした好循環をつくることは、飲食店や食品販売店だけにプラスになるわけではなく、行政にもプラスになる。

 独走するウーバーイーツへの包囲網は確実に狭まっている。

(文=小川裕夫/フリーランスライター)

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