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『半沢直樹』生放送回に批判集中のワケ…“半沢歌舞伎”感が強すぎ、密で危険な作品の魅力

文=藤原三星
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いよいよ佳境を迎えるTBSドラマ『半沢直樹』。前作の最終回で叩き出した最高視聴率“42.2%”を超えることはできるのか?(画像はTBS公式サイトより)

 7年ぶりの続編となった『半沢直樹』(TBS系)が相変わらず絶好調だ。視聴率は初回が22.0%、8月16日放送の第5話では今シリーズ最高となった25.5%を記録(ビデオリサーチ調べ、関東地区/以下同)。

 しかし、8月中旬に制作スタッフのひとりに新型コロナウイルスへの感染が発覚。接触した可能性のある出演者やスタッフにPCR検査を実施する事態となり、結果はすべて陰性だったが3日間の撮影休止を余儀なくされる。また、新型コロナの影響で予定していた撮影場所が借りられないなどの事態が重なり、9月6日に放送予定であった第8話の1週間延期が発表されたのであった。

 同日、代わりに放送された特番『生放送!! 半沢直樹の恩返し』は、22.2%を記録。劇中では反目しあっているはずの堺雅人や香川照之がドラマの舞台裏を仲睦まじく語り合う、という内容だったが……。あるテレビ誌記者は次のように語る。

「新型コロナの影響で延期になったのは仕方ないですが、正直、生放送はいらなかったように思います。だって、今回の半沢もかなりおもしろく、緊迫感みなぎるシーンがてんこ盛りなのに、堺さんや香川さんがにこやかに語り合うさまをドラマの中盤で見せられると、なんだか冷めてしまって……。

 生放送の視聴率はそこまで悪くなかったし、香川さんのセリフである『お・し・ま・い・DEATH』がアドリブだったということが改めて明かされたりと、半沢ファンの間では好評を博したといわれている一方で、『早く続きが見たい』『それ以上、仲のいいところを見せないで』という声も多数上がっていました。どうせなら、今までの展開をダイジェストでつないだほうがよかったように思いますけどね……」

新型コロナ禍においては、そもそもかなり“危険”な作品

 前作の最終回では“平成のドラマ史上最高視聴率”となった42.2%をたたき出したこともあり、期待度MAXで始まった今回の『半沢直樹』。ほかのドラマと比べても出演者が多く、エキストラも相当な数を導入している。つまり、この新型コロナ禍においては、”かなり危険な作品”だといえるのだという。

「銀行での会議やオフィスのシーンでは相当な人数がいますし、社員説明会や居酒屋のシーンなどでも相当な数のエキストラを投入しており、一部では『さすがに密すぎるから、あれはCGで合成しているのでは』とさえいわれています。

 また、前作から『半沢直樹』の“顔芸”は話題になっていましたけど、今回はさらにすごいですよね。主要キャストによる“密なにらめっこ”は、リハではしっかりフェイスガードなどをしつつ、本番では“一発撮り”でやっているそうです。これも、手練れ揃いの役者陣だからこそ、一発勝負でもあの迫力が出せるのでしょう。

 要は、『半沢直樹』はそもそもが“密なドラマ”なわけで、8話までよくコロナに負けずに撮り続けられたと思います。現場では、相当なコロナ対策がなされてることでしょう。放送日の1週間前まで撮影しているというギリギリの収録スケジュールらしいですし、ということは、主要キャストがコロナに感染でもしたら一発で終わり。第8話が延期になった程度でよかったと思うしかありません。

 むしろ、ソーシャルディスタンスなどおかまいなしに、登場人物があれほど接近してぶつかり合うドラマは、コロナ禍の今、逆に新鮮で痛快。そんな濃厚な密度をはらんだ半沢の世界だからこそ、コロナで疲弊した日本人にも響くのではないでしょうか」(前出のテレビ誌記者)

生放送回は、“半沢歌舞伎”感が強すぎたのではないか

 では今シリーズは、2013年版最終回の“42.2%”という“お化け数字”を超えることはできるのだろうか?

 あるスポーツ紙の芸能担当はこう語る。

「正直、今回のシリーズは少々“ネタ”に寄りすぎているというかコント風味が強いので、前作を上回ることはできないのではないかと思います。香川さんの『お・し・ま・い・DEATH』もかなりやりすぎだし、それに引っ張られて堺さんもセリフ回しが大げさすぎる。また、片岡愛之助の“おかまキャラ”もやや強めになっていて、突然『なおき~』と半沢を名前で呼ぶあたり、もはやコントの域に達しているような……。

 今回の生放送では、演者たちのそんな“悪ノリ”がそのまま垂れ流されていたようにも思われ、正直私は見ていてしんどかったですね。歌舞伎俳優を数多く投入し、“半沢歌舞伎”ともいわれてますが、とはいえ主要キャラが次から次へ歌舞伎の見得のようなものを切りまくるとあっては、視聴者もさすがに冷めてしまうのではないでしょうか。

 しかし、ウィズコロナの時代には、これほどの群像劇を全10話ほどのスケール感で撮影することは難しくなっていくのかもしれません。今後もしばらくはコロナと折り合いをつけながら撮影をするしかないのでしょうが、3カ月もの間、同じキャストで収録を続けるというのはかなりリスクが高い。半沢はなんとか10話まで撮影するそうですが、もしかしたら今後は、全6~7話程度のショート連ドラがスタンダードになる可能性もあるのではないでしょうか」

 賛否両論あった9月6日の生放送を経て、9月13日に放送は再開予定。残り3話、果たして半沢は、どのような形で有終の美を飾ってくれるのか?

 とにかく今は、『半沢直樹』が無事に最終話まで駆け抜けてくれることを願うのみである。

藤原三星

藤原三星

ドラマ評論家・コメンテーター・脚本家・コピーライターなど、エンタメ業界に潜伏すること15年。独自の人脈で半歩踏み込んだ芸能記事を中心に量産中。

Twitter:@samsungfujiwara

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