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“技術屋集団”ホンダは、なぜGMと「車の命=エンジン」共通化するまでに陥ったのか

文=真壁昭夫/法政大学大学院教授
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 ホンダGMと資材の共同購買も目指している。それは規模の経済効果の実現を目指すための取り組みといえる。また、ワクチンが開発段階にあるなかで、新型コロナウイルスの感染がどうなるかは読みづらい。それに加えて、IT先端分野を中心に米中対立が先鋭化していることは、世界のサプライチェーンを混乱させる恐れがある。そうした状況に対応するためにも、アライアンスを組んで鋼板など自動車製造に必要な資材や、エンジンをはじめとする主要パーツなどの調達を行うことは収益を守るために欠かせない。それは、ホンダが当面のペントアップ・ディマンドを取り込むために重要だ。

生き残りのために加速化するホンダの構造改革

 それに加えてホンダは、“CASE(Connected:コネクティッド、Automated:自動化、Shared:シェアリング、Electric:電動化)”、さらには都市空間の一部としての新しい自動車の社会的な役割発揮を成長につなげなければならない。そのためには、より効率的な事業運営体制を確立し、研究開発体制を強化することが求められる。

 GMとの戦略提携が発表される以前から、ホンダはCASE化などに対応するための構造改革に着手した。まず、2019年5月、ホンダは6つの地域を需要の特性や環境面などの規制の共通分が多い地域で束ね、商品ラインアップを絞り込む改革を発表した。同社は、2025年までにグローバルモデルの派生数を従来の3分の1に削減する方針だ。

 構造改革を進める矢先、想定外に新型コロナウイルスの感染が世界全体に広がり、ホンダは需要の急減に直面した。その結果、ホンダはこれまで以上のスピードで構造改革を進め、より効率的な事業運営を目指さなければならなくなっている。言い換えれば、コロナショックの発生がホンダに構造改革のスピードアップを求めている。2017年7月に国内復活が実現した“シビック・セダン”が生産終了となるなど、経営陣はかなり思い切った改革を進めている。

 GMとの戦略提携の発表とほぼ同じタイミングで、ホンダは傘下の自動車部品メーカー(ケーヒン、ショーワ、日信工業)へのTOB(株式公開買い付け)実施を発表した。ホンダは3社を完全子会社にする。その上で、2021年3月までにホンダは傘下部品メーカーと日立製作所傘下の日立オートモティブシステムズ(ホンダが49%を出資)の合併を目指している。さらに、2022年から日立オートモティブシステムズは米国でEVなど向けのモーターの量産を開始する予定だ。

 それが意味することは、稼ぎ頭の市場である米国にてホンダがコストの削減と、成長期待の高い分野への取り組みを、他社とのアライアンス強化によって進めていることだ。それは同社の改革のスピードが加速化していることといえる。

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