国交省によればサウンディング型とは、事業内容やスキーム等に関して、民間事業者との直接の対話によって、民間の意見や新たな提案の把握を行う手法だという。

「対象事業の計画段階で広く対外的に情報提供することにより、当該事業への民間事業者の参入意欲向上を期待」できるとされていて、気楽に企画提案してもらえるメリットがあるというわけだが、最大の特徴が、参加企業の提案内容を詳しく公表しなくていいこと。そのため、市議会にも選考結果の概略しか伝えられていない。これも疑心暗鬼を呼ぶひとつの原因となっている。

高すぎる運営費

 実は、先に見たB社とC社の最大の違いは、活用するフロア数だった。B社が4階分全フロアを活用して、こどもプラザなどを展開する計画だったのに対して、C社がコンペに提出した計画では、1、2階のみの活用にとどまっていた。

 関係者によれば、年間集客数が「70万人」とB社の「約40~60万人」と大きく上回っているにもかかわらず運営費用が圧倒的に安かったことが、C社選定の決め手になったという。

 ところが、この後策定された基本計画案をみると、なぜか3階も公共施設を配置する計画になっていた。市側の要望によって3階も活用することになったらしいのだが、そのため、年間の維持管理費を含む運営費は、C社の当初提案の1.5億円程度から約2億900万円にまで膨れ上がった。

 CCCが宮崎県延岡市で運営している複合施設エンクロスの運営費は、年間1億3500万円。エンクロスは宇部市と同様、市民活動センターで、開業時に新市長から「高い運営費の見直しが必要」とされていた。その高いとされた運営費よりも、宇部市はさらに高い。

 事業全体の予算も、驚きの連続だ。まず、建物の整備費(改修工事、解体工事、内装費含む)が約29億円。25台分の立体駐車場整備費1億5000万円(90台収容なら4億8000万円)を合わせると30億円を優に超える。それとは別に、数億円の開業準備費もかかる見込み(これら整備費の約42%は、国の補助金と交付税で賄えると市当局は説明)。

 一方で、テナントに入る店舗からの想定家賃収入は3100万円。指定管理者に払う年2億円以上の運営費がかかるため、その程度の収入では、たいして負担軽減にはならない。

 ちなみに、15年に新築移転が決まって昨年10月に完成した和歌山市民図書館の場合、建築費は新築で約30億円(内装費別)だった。この間、オリンピック前の建築費高騰を考慮しても、宇部市の改修費は、相当に高い印象だ。

 ある関係者は、こうぼやく。

「築40年を超える古い建物に、それだけ巨費をかけて改修して、あと何年もつのかと聞いたら、担当部署が『50年は大丈夫です』と言うから、もうあきれました。本当に50年ももつんでしょうか」

 それにもかかわらず、議会の最大会派がこの案に賛成しているため、このままいけば施設条例は成立しそうな情勢だ。

地方自治に詳しいある図書館関係者は、こう嘆息する。

「まったくでたらめな自治体ですね。井筒屋の古い建物に30億円以上かけてつくりたいのは、街の中心街に賑わいを残したいという市及び商工会議所の要求だと思います。そこにCCCがうまく入り込んだということでしょう。業者決定もB社、C社のなかで1・2階活用で落札したC社に、市側がわざわざ後から3階案を出して1.5億円から2億円に増やすなどしたのは、はじめにC社ありきで出発したからではないでしょうか」

 では、いったいどうして、コロナ禍において優先課題が山積されているなか、これほどコストパフォーマンスの悪い事業計画が、宇部市で進められることになったのだろうか。“ツタヤ図書館もどき”をつくる計画の裏側でうごめく不可解なプロセスについては、次回、さらに詳しく迫っていきたい。
(文=日向咲嗣/ジャーナリスト)

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