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垣田達哉「もうダマされない」

誰も仕組みを知らないGoToイートに税金2003億円投入…事業委託先に469億円支払い

文=垣田達哉/消費者問題研究所代表
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 いずれも偽造食事券ではないので、最大2万円で5000円しか利益がない。そこまでする人がいるだろうかとは思うが、国が全国規模で行うキャンペーンなので不安はある。転売目的の人が多くなれば行列は長くなる。販売する側は、ソーシャルディスタンスとして1m間隔で消費者を並ばせるだろうから、100人で100m、1000人並ぶと1kmになる。

 愛媛県は、県内約100カ所の窓口で販売される。愛媛県の人口は約133万人。20%の人が100カ所に並ぶと、1販売所に2660人。10%の人でも1330人が並ぶことになる。特に愛媛方式は、1セット5000円(500円券×10枚)の食事券が4000円で購入できる。最小単位が500円なので、おつりを考えると使い勝手が良い。便利で(お得で)あるがゆえに行列が長くなる可能性がある。

 一方、香川県は往復はがきによる抽選(合計4回)で42万枚(額面52.5億円)を販売すると公表したが、重複応募をチェックできるだろうか。1世帯(同じ住所)から複数応募があった場合、勤務先の住所から応募があった場合等、同一人物が複数応募する可能性がある。買い占め防止策はとっているのだろうか。香川方式は1セット1万円(1000券×10枚+500円券×5枚)なので、おつりが出ないことを考えると愛媛方式より使い勝手が悪い。

 オンライン飲食予約も並ぶ必要はないが、購入すれば来年3月末まで使用できる食事券と違って、付与するポイントがなくなった時点で終了となる。全国から誰でも予約ができるので、大量の予約が集中する可能性がある。サイト側はパンクしないだろうか。具体的な仕組みはわからないが、混乱は必至のような気がしてならない。

 いずれにしても、行列は「販売所が近くて、行列が苦にならない人」に有利であり、オンライン飲食予約は「インターネットが得意な人」に有利である。今回のキャンペーンは、どちらも不公平であることは歴然としている。定額給付金の口座に1万円振り込んでくれたほうが消費者はありがたい。

 Go To イートの総予算は2003億円だが、食事券とオンラインポイントがそれぞれ767億円で計1534億円、委託費が469億円である。総予算の約23%のお金が委託事業者に流れる。食事券事業では約200億円が委託費だ。47都道府県に均等に分配しても、各都道府県の事業者に約4.3億円が支給される。いったい誰が得をするのだろう。

【スタジオに持ち込んだメモの抜粋】

 一番の問題は、ほとんどの消費者がGo To イートの内容について理解していないこと。食事券の場合、一部ネット販売もできるが、ほとんどが窓口での対面販売になる。

 一つの販売所で1日2000万円、1000人分が販売されるとすると、1000人並べば終わり。ショッピングセンターで100人並べば100mの行列。転売目的の人が何度も並ぶ。食事券は金券ショップが買う可能性がある。

 もう一つは飲食店も買うかもしれない。買い占めようと100人が10回並べばそれで終わり。買い占めを防止しようとすると、敗売窓口で本人確認をしなければならなくなる。そうなると行列を待つ時間が長くなる。

 オンライン予約で付加されるポイントは、一人当たり0.6回、10人に1人しか利用しなかったとしても一人当たり6回、6000円。食事券と違って5000ポイント一度にもらえるものではない。来店して初めて500ポイントか1000ポイントもらえる。ポイントもなくなり次第終了なので早く使った者勝ち。一人、月に1回の予約しかできないと規制しても、複数のサイト、携帯やパソコンから予約すればいくらでも予約できる。大手の飲食店が参加すれば1~2カ月で終了する可能性がある。

 私は逆に、大手は参加しないと思うので、中小飲食店だと、ランチ時に多くのお客を店に入れるわけにいかないので、予約しても抽選で外れる人が続出するのではないか。オンライン予約に慣れた人でなければ無理。だからすごく不公平。

 店側も、お客の数は増えない。一人3食や4食に増えるわけではない。いつも来てくれる人が、現金ではなく食事券やポイントで支払うだけ。

 Go Toに限らないが、末端の事業者や消費者よりも、政策の委託を受けた事業者が一番儲かる仕組みになっている。Go To イートも委託事業者の予算は469億円(給付金は1534億円)。税金の使い方が、特定の事業者に恩恵を与えることが目的になっているので、一部の企業の一時的な景気回復にしかならない。国民一人ひとりにはわずかなバラマキだが、委託企業にとっては莫大な利益が転がり込む。それよりも、定額給付金や持続化給付金のほうが、国民ははるかにうれしい。一度振り込んでいるから、2回目は簡単。

 食の業界にとっては、年末年始が1年間で最も稼ぎ時。年末年始に売上が半減状態では、商売の継続は難しい。経済は徐々に回復傾向にあるが、まだ終息には時間がかかるだろう。客を来店させる政策よりも、終息までのつなぎ資金を、末端の事業者に給付するほうが有効。

(文=垣田達哉/消費者問題研究所代表)

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