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菅“公安・警察”政権が誕生、霞ヶ関に緊張走る…筋金入りの警察官僚たちが政府中枢占める

文=編集部
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首相に選出され総理官邸に出邸した菅義偉首相(AFP/アフロ)

 警察官僚たちが我が世の春を迎えている。16日に発足した菅義偉政権。その顔ぶれに、霞ヶ関の官僚たちには奇妙な緊張感が漂っている。旧通商産業省(現経済産業省)出身で安倍晋三前首相の「側近中の側近」として中央省庁を支配していた今井尚哉首相補佐官が内閣官房参与に退き、安堵した次の瞬間、「情報取集の鬼」と名高い公安畑の警察官僚らが政府中枢を固めたからだ。

「菅首相は口が重く規律を重んじる人間が好き」

 まず官僚たちのトップである官房副長官には杉田和博氏が再任された。杉田氏は警察庁警備局長、内閣情報官、内閣危機管理監を歴任した“インテリジェンス”のスペシャリストだ。2012年末の第2次安倍政権発足から現職に就き、17年からは中央省庁の幹部人事を一元管理する内閣人事局長も兼任して、中央官庁官僚の造反とマスコミの動向に目を光らせてきた。総務省関係者は次のように話す。

「杉田副長官の地獄耳は半端ではありません。どこに情報源を持っているのかわかりませんが、すべての中央省庁の動向ににらみを利かせています。今井首相補佐官がいなくなって、実質的に中央省庁の人事権は警察庁関係者で握られたと見ていいと思います」

 また、事実上の日本最大の防諜機関である国家安全保障局(NSS)の局長には北村滋氏が再任された。杉田氏と同じ警察庁出身で、他国のスパイ工作などに対抗する警察庁外事情報部長などを経て、民主党政権の11年12月に内閣情報官に就任。第2次安倍政権発足後も情報官を務め、昨年9月にNSS局長に就任した。外務省関係者は今回の人事を次のように見る。

「北村さんは米中央情報局(CIA)とも非常に近い人物です。とにかく軽々に名前を出さないほうがいいと言われています。菅首相はまじめで口が堅く、規律を重んじる人物をとにかく好むと聞きます。杉田さんと北村さんは理想の官僚といえるでしょう」

武田総務相、平沢復興相と杉田副長官の警察官僚コネクション

 新閣僚である武田良太総務相(自民党衆議院議員、小選挙区福岡11区、志帥会=二階派)と平沢勝栄復興相(同、東京17区、同)の二人もまた、現役の警察官僚たちと近い人物として知られる。

 武田氏の前任は国家公安委員会委員長として全国の公安委員会の実質的な責任者だった。平沢氏はたたき上げの警察官僚として知られる。1968年に警察庁に入庁後は、警察庁警備局外事課、福岡県警察本部警備部外事課長、警察庁皇宮警察本部護衛部護衛二課長、同警備局公安第三課兼外事課長補佐を経て在英日本大使館一等書記官。刑事局保安部保安課長、警視庁防犯部長、警察庁長官官房審議官、防衛庁長官官房防衛審議官などを歴任した。

 経産省関係者は次のように話す。

「平沢さんも武田さんも、警察庁の公安部門、公安調査庁の関係者と強固なパイプを構築しています。おおむね入閣は二階俊博自民党幹事長の差配によるものだと思いますが、杉田官房副長官との連携はかなり怖いものがあります。公安部門の官僚はとにかく個人情報の収集と管理に長けています。何かあれば徹底的に干される可能性があります。

 これまで中央省庁の主導権争いは財務、外務の2大勢力に今井尚哉補佐官の人脈を中心とした経産省が挑む構図でした。一方で、警察庁はこれまで確固たる存在感を示しながらも、国政にダイレクトに介入してくることはありませんでした。しかし、一連の人事は少しきな臭いです」

 満を持して始まった菅政権は「官邸によるトップダウン」を踏襲する方針を示している。今後、政府中枢と中央省庁のパワーバランスはどうなっていくのだろうか。

(文=編集部)

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