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牧野知弘「ニッポンの不動産の難点」

オフィス、無用の長物化&大余剰が現実味…平均賃料2割減も容易に想定

文=牧野知弘/オラガ総研代表取締役
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 社員から見れば、会社という「ムラ」の存在を強烈にアピールしてきたのがオフィスだったが、そのオフィスに通うことが仕事の価値ではないことに気づいたポスト・コロナにおいては、オフィスはただ単に時折、社内外の人と会って互いの存在を確認するだけの場になっていくことになりそうだ。

 存在の確認すら、実際には必要なく、これからは一部のヘッドクォーターのみを残して、組織は限りなくバーチャル化していくものと思われる。このようになると、現在都心部で大量に供給されているオフィス床は、ひょっとすると無用の長物と化していくことも想像される。

 かなり多くの企業では一部のヘッドクォーター機能だけを残して、テレワーク中心の組織体制にする。ワーケーションなどを活用して郊外や地方への分散を促進するようになるだろう。そうした意味でパソナが本社を淡路島に移転するとした発表は、世間を驚かせるには十分にインパクトのあることであったし、今後のオフィスのあり方を問いかけるものとなりそうだ。

 ポスト・コロナは、都心部のあり方を確実に変えていくことは間違いがなさそうだ。多くのオフィスは郊外などのコワーキング施設や企業が独自に展開するサテライトオフィスになっていくだろう。そうしたオフィスは何も高層ビルである必要もない。高層ビルがステータスであった時代はすでに過ぎ去っているのだ。郊外の自然豊かなオフィスで働くのが普通の働き方になってくるだろう。

 私は以前REITの社長をしているとき、企業IR(Investor Relations)でスイスにあるネスレの本社を訪れたことがある。そのオフィスはレマン湖のほとりにある低層の建物で、オフィスと湖のあいだには綺麗に芝生が敷き詰められ、見事な景観であったことが忘れられない。

 そのネスレで働く日本人従業員の方とも話をしたのだが、彼はもはや東京に戻ってあのクソ混みの通勤電車に乗って、無味乾燥な高層ビルで働くなんて金輪際できないとうそぶいていたが、どうやらやっと日本にもそんな素敵なオフィスで働ける時代がやってくることになりそうだ。

 コロナ後はオフィス大変革時代の到来なのだ。

(文=牧野知弘/オラガ総研代表取締役)

●牧野知弘(まきの・ともひろ)

オラガ総研代表取締役。金融・経営コンサルティング、不動産運用から証券化まで、幅広いキャリアを持つ。 また、三井ガーデンホテルにおいてホテルの企画・運営にも関わり、経営改善、リノベーション事業、コスト削減等を実践。ホテル事業を不動産運用の一環と位置付け、「不動産の中で最も運用の難しい事業のひとつ」であるホテル事業を、その根本から見直し、複眼的視点でクライアントの悩みに応える。

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