赤字9615億円のソフトバンクG、外国人役員に「21億円」「7億円」など巨額報酬支払い

ソフトバンクショップ(「Wikipedia」より/Kirakirameister)

 東京商工リサーチは、開示された20年3月期の有価証券報告書から各社の役員報酬を集計し、公表した。上場企業で2020年3月期に1億円以上の報酬を得た役員は530人。8年ぶりに減少した。過去最多だった前期の571人を41人下回った。

 欧米型の成果に応じた報酬制度が浸透し、「1億円プレーヤー」は増加を続けてきたが、新型コロナウイルスによって業績や株価が落ち込んだ影響が出た。減少は東日本大震災の影響があった12年3月期以来となる。役員報酬が1億円を上回る役員がいる企業は255社と25社減った。

 最高額は住友不動産の高島準司・元会長の22億5900万円。昨年9月、89歳で亡くなった。社長・会長の在任期間は約25年に及ぶ。同社では取締役の報酬について年額の5割前後を退職金などに充てている。基本報酬6500万円のほか、退職時報酬21億9400万円が支払われた。

 顔ぶれを見ると上位10人のうち6人が外国人だ。ソフトバンクグループでは、副社長のマルセロ・クラウレ氏(元米携帯子会社スプリント会長)など3人が10位以内に入った。SBGは20年3月期に9615億円の最終赤字となった。投資先である米シェアオフィス、ウィーワークが創業者のずさんな運営が発覚し経営難に陥ったことによる。6月の株主総会で孫正義会長兼社長は「(赤字の主因となった)ウィーワークは反対を押し切ってやった私の責任だ。減俸すべきは私。他の幹部はトータルで判断すべきだ」と説明した。

 SBGの取締役副社長、米国投資会社トップのロナルド・フィッシャー氏は、19年3月期は32億6600万円の役員報酬を得て、断トツの首位だった。だが、20年3月期は投資の失敗で7億100万円の株式報酬を受け取れず、大幅に減額。それでも6億8000万円の役員報酬があった。米事業会社トップのマルセロ・クラウレ氏は、前期の18億200万円から21億1300万円へと大幅にアップした。孫氏の役員報酬は2億900万円。前の期が2億2900万円だから、2000万円減俸したことになる。

 株主から高額報酬に対する批判が出ている武田薬品工業の20年3月期の純利益は67%減った。クリストフ・ウェバー社長の役員報酬は20億7300万円。前期(17億5800万円)より3億1500万円増えた。武田薬品は今春、不正などが発生した場合、役員報酬を返還させる「クロ―バック制度」を導入した。20年3月期の有価証券報告書から全取締役の報酬額を開示するなど、透明性の確保に努めている。

 ソニーの吉田憲一郎社長は10億2300万円と、前期(8億4000万円)より22%増えた。業績連動分の支給額が増加。株式を利用した「ストックオプション」(新株予約権)の付与額が膨らんでいる。

 かねて、日本企業の役員報酬は国際的水準に比べて低く、人材のグローバル化を進めるうえでの障壁になっていると指摘されてきた。近年はグローバル競争を勝ち抜くため優秀な人材を確保しようとし、高額報酬を付与する企業が増えている。業績や株価に連動する報酬も目立っており、報酬体系は「成果に報いる」欧米型に近づいてきた。

 上場企業の21年3月期の純利益は前期比36%減となると予想されている。3期連続で減益となる見通しと報じられている。リーマン・ショック時の09年3月期以来の、すさまじい落ち込みである。21年3月期の「1億円プレーヤー」は激減するのだろうか。

(文=編集部)

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