時代に合わせた新たな出版ビジネスのあり方を模索しなければいけない

 それではやはり、「本は文化」なのであり、出版物に関しては今後も、「総額表示」規定からは除外されるべきだと考えるのが妥当なのだろうか。

「『本は文化だ』ということを“錦の御旗”にして今回の件を拒否するのだとすれば、それはちょっと抵抗がありますね。確かに残していくべき価値ある文学や評論、歴史書はたくさんあると思いますが、Kindleなどのデジタルで残していくという手段もあるわけですし、社会の事情に合わせてやっていくにはコストがかかるからできない、出せないというのなら、それは消えていくべき運命なのかも、という気もします。

 もちろん、Kindleなどで閲覧可能なようにデータ化するのにもコストがかかるし、手間もかかる。だからデータ化も無理だからもはや電子本としても出せない……となると、それはもはや自然淘汰ではないかなと。

 出版市場が年々縮小し、書店はどんどん潰れ、Amazonなどのネット書店も登場し、電子出版やウェブ閲覧も増えている……という激変期に出版業界があることを考えると、そうした時代に合わせた新たな出版ビジネスのあり方を模索し続けなければいけないのだとは思いますね」(前出の中堅出版社編集者)

 はたして、出版物に対する総額表示の義務化は、文化を衰退させる悪手なのか、それとも時代の流れに合わせて受け入れていかなければいけない変化のひとつなのか。

 出版物に対する「総額表示」の義務免除が終了するまで、あと半年である。

(文=編集部)