商圏内シェアアップ作戦を支えているのが総菜だ。食品スーパーは、生鮮(肉・魚・野菜・果物)、グロッサリー(菓子などの一般食品・日用雑貨)、デリカ(総菜・おにぎり弁当・サンドイッチ)に大別される。どの食品スーパーもこの構成は同じで、あとは価格勝負のように見えるが、必ずしもそうではない。

 ヤオコーの20年3月期の実績でいえば、売上が大きいのは、グロッサリーで全売上の51.6%を占める。次いで生鮮の34.6%。総菜のデリカ事業部は13.5%にとどまる。ところが、部門別粗利益率は生鮮が27.35%、グロッサリーが23.25%と前年より減少した。一方、デリカ事業部は51.36%と前年よりアップした。総菜の収益力は抜群に高い。

 魚、肉、エスニック、デザート、寿司といった具合に平台に明確なテーマ性を持たせている。「できたてのおいしさ」が売り物の、店内でつくった車エビ天重などが総菜の目玉商品だ。

 総菜やプライベートブランド(PB)商品を充実させ、少子高齢化による「個食」への対応を進めてきた。コロナ禍で巣ごもりが広がるなか、高単価の総菜が伸び、連続最高益の更新の原動力となっている。

都内に進出したヤオコーに勝算はあるか

 17年4月、神奈川県で食品スーパーを運営するエイヴイを買収し、完全子会社にした。「圧倒的な低価格」と「徹底的なローコスト運営」を基本とし、12店(3月末時点)を展開している。M&Aをやらずに、自立成長を重んじてきたヤオコーのこの動きに対して、競合他社から驚きの声があがった。

 都心から20~40キロメートルの郊外を「ドーナツエリア」として重点地域に設定。17年11月、調布市入間町に約300坪の小型店「八百幸 成城店」がオープした。都心型小型店である。目玉は、お家芸の総菜である。

 東京の出店はわずか11店にとどまる。23区内にはゼロだ。悲願とする23区への出店を前に、エイヴイのノウハウを生かし、都心型小型店のローコスト経営に磨きをかける。「ドーナツエリア」は名だたる有力店がひしめき合う、大激戦区だ。

 都内に殴り込みをかけるヤオコーは増収・増益を続けることができるのだろうか。

(文=編集部)

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