平田昭彦、東大から巨大商社を経て俳優に転向するも、演じる役は怪人

 天本英世は「ゴジラ」シリーズにも何本か出演しているが、その第一作『ゴジラ』(監督:本多猪四郎、1954年)で、酸素破壊剤「オキシジェン・デストロイヤー」を発明する「芹沢博士」をアイパッチ装着で演じた平田昭彦(1984年に逝去)は、1950年に東大法学部政治学科を卒業している。大学卒業後に東京貿易(現・三菱商事)に入社するが、映画界へのあこがれが強く、のちにニューフェイスとして東宝入りしたという経歴がある。

 知的で温厚な人物を演じることもある平田だが、一方でインテリやくざや謎の殺し屋など、怪しいキャラを演じることもしばしば。その極めつけが、特撮ドラマ『愛の戦士レインボーマン』(NET=現テレビ朝日系)に登場する悪の組織「死ね死ね団」のリーダー「ミスターK」役。平田はこの役を白髪&サングラスで、なんとも胡散臭く演じた。

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1970年代前半に現在のテレビ朝日系にて放送された子ども向け特撮番組『愛の戦士レインボーマン』。画像は、東映より発売のDVD『愛の戦士レインボーマン M作戦編』

渡辺文雄、電通入社後にスカウトされ俳優デビュー

 晩年は『おもいッきりテレビ』(日本テレビ系)にコメンテイターとして出演していた渡辺文雄(2004年に逝去)は、1954年に東京大学経済学部を卒業し、大手広告代理店「電通」に入社している。ところが、クライアントである松竹にスカウトされて、社業の一環として俳優デビューすることに。以後、立て続けに映画に出演し、演技者として評価が高まることで電通を退社して俳優業に専念した……という異色のキャリアを持ち主だ。

 若い頃は大島渚作品の常連だったが、やがて、東映で数多くのやくざ映画に主に悪役として出演。悪賢い組幹部、インテリやくざを得意とした。やくざ映画が下火となったあとも、渡辺の仕事は途切れなかった。

 東映のポルノ路線作品に連続出演。さらに、梶芽衣子主演の『女囚701号/さそり』(監督:伊藤俊也、1972年)では、サディスティックな面を持つ刑務所の所長を演じ、ガラスの破片で目玉をえぐられている。また渡辺は、表向きは厳粛な雰囲気ながら、実は裏で風紀が乱れに乱れた修道院を描いたカルトムービー『聖獣学園』(監督:鈴木則文、1974年)で、修道女たちを好き放題するセクハラ司祭を演じた。

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1974年に多岐川裕美主演で公開された映画『聖獣学園』。画像は2014年に東映より発売されたDVD版ジャケット。

やくざの親分や悪代官を演じ続けた東大出身俳優たち

 ほかにも、なぜか悪役俳優には東大出身者がゴロゴロしている。神田隆(1986年に逝去)、田口計(87歳)、南原宏治(2001年に逝去)がこれに該当する。パッと顔が頭に浮かばない方も多いかもしれないが、それぞれの名前をググってみると、昭和生まれの方なら「ああ、あの人ね」と思っていただけるハズ。彼らはいずれも、悪代官、悪徳政治家、腹黒経営者、やくざの親分などを何十回、何百回と演じてきた東大出身(南原は中退)の名悪役なのである。

 それにしても、東大出身俳優はなぜ、悪役、敵役、怪人物役を怪しく演じる機会が多いのか? これは、日本の映画、演劇界の大いなる謎だといえよう。

(文=峯岸あゆみ)

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