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浜田和幸「日本人のサバイバルのために」

日本が1億回分購入契約のワクチン、重大な副作用で治験中断…タミフル大量余剰の二の舞か

文=浜田和幸/国際政治経済学者
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ジュネーブにあるWHO本部(「Wikipedia」より)

 世界では依然として新型コロナウイルスの感染拡大に歯止めがかからず、感染者数はついに3000万人を突破した。死者も100万人を数える。とはいえ、感染者の数を誤って130万人も余計にカウントしていたイギリスの保健省や、死因を新型コロナウィルスと報告したにもかかわらず「94%が別の原因であった」ことを認めたアメリカのCDC(疾病対策センター)の不正確な対応等が発覚したこともあり、戸惑うことも多い。

 いったい、どこまで各国政府の発表するデータや専門家と称される人々の発言を信じてよいものか。やたらと不安感を煽り、ワクチンの開発と接種を急がせるための「製薬メーカーの陰謀ではないか」といった声まで出始めている。とはいえ、アメリカを筆頭に、インド、ブラジル、ロシア、フランスなど多くの国々では、感染の嵐が吹き荒れていることは否定のしようがない。

 そのため、一刻も早く治療薬やワクチンの開発が求められている。実際、アメリカ、ドイツ、イギリス、日本、中国、台湾など各国の研究者や100社近い製薬メーカーが開発レースの真っただなかである。とはいえ、動物実験から始め、治験者の数を徐々に拡大しながら、その効果を検証し、副作用のない安全なワクチンを市場に提供できるまでには長い時間がかかる。思い起こせば、おたふく風邪のワクチン開発には4年、ポリオの場合には20年、天然痘に至っては200年もの年月がかかっている。

 今日ではワクチンの開発が政治的な緊急課題となっているようだ。トランプ米大統領は11月までにはワクチンの開発宣言をすることで、再選を確実にした意向に違いない。また、東京オリンピック・パラリンピックを来年夏に控える日本とすれば、来年早々にはワクチンを是が非でも確保せねばならないだろう。

 そんななか、ロシアのプーチン大統領が世界に先駆けて新型コロナウィルス用のワクチン「スプートニクV」を完成させたと発表。8月11日のことである。実は、ロシアでの感染者はアメリカ、インド、ブラジルに次いで世界で4番目に多く、100万人をはるかに超えている。プーチン大統領とすれば、国内的な不安感を払しょくしなければ、政権の維持にも暗雲が立ち込めるとの危機感にさいなまされていたに違いない。

 そうでなくとも地方経済の落ち込みが深刻で、ロシアではこのところ反プーチン運動が加速する傾向を見せている。その反プーチン政治活動の中心人物、ナワリヌイ氏がロシアの地方空港の待合で口にしたお茶に毒を盛られ、ドイツの病院で治療を受けているが、過去にも似たような毒殺や未遂事件が頻発するロシアである。国民の間に広がる反プーチンの動きをけん制するためにも、プーチン大統領とすれば「世界初のワクチンを希望者全員に提供する」との前向きなメッセージが必要だったのではないか。「毒殺」という悪のイメージを打ち消すためにも、「世界初のワクチンの完成」というプラスのイメージを強化したいと考えたのであろう。

ロシア開発のワクチンに疑問広がる

 とはいえ、各国のワクチン開発メーカーに資金を提供しているビル・ゲイツ氏でさえ「完成は早くて年末か年明け」と予測している状況であり、市場に出回るのは2022年との見方も出ている。そのため、プーチン大統領の発表には世界中が驚くとともに、「本当に大丈夫なのか」と半信半疑の声が出るのも当然であろう。

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