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田中圭太郎「現場からの視点」

専修大学、30年勤務の非常勤講師の無期雇用を拒否…大学では異例、法律の抜け穴を悪用

文=田中圭太郎/ジャーナリスト
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 そもそも科技イノベ活性化法による10年での無期雇用転換は、研究開発業務などのプロジェクトに従事する研究者が、5年未満で雇い止めをされる事態を防ごうと、京都大学iPS細胞研究所所長の山中伸弥教授らの提言によって法改正された経緯がある。

 弁護団の田渕大輔弁護士は、専修大学は科技イノベ活性化法と関係ない非常勤講師に、5年での無期転換を認めない専修大学のやり方は「脱法的な運用だ」と指摘。「語学を教える非常勤教員に適用するのは悪質だ」と主張した。

 会見に同席した首都圏大学非常勤講師組合(以下、非常勤講師組合)によると、「科技イノベ活性化法を理由に非常勤講師の無期転換を拒否した大学は、専修大学以外には聞かない」という。労働契約法の改正から5年が経過する2018年3月末までには、非常勤講師を5年未満で雇い止めしようとする動きが東京大学や早稲田大学など多くの大学で起きた。非常勤講師組合でも、各大学と団体交渉して、雇い止めをしないように説得した。

 その結果、首都圏ではほとんどの大学が法の趣旨を理解して、非常勤講師の無期転換に応じた。非常勤講師組合によると、現在でも慶応義塾大学や中央大学が「10年経たないと無期転換できない」と主張。早稲田、法政、立教など、労働契約法改正後に採用した非常勤講師に、10年での無期転換を適用しているケースもある。

 ただ、10年での無期転換を主張している大学は「大学の教員等の任期に関する法律(以下、任期法)」を根拠にしている。任期法はあくまで2013年度に無期転換権が発生しなかった人に特例として10年が適用されるもの。慶応義塾などの主張には問題点もあるが、10年で無期転換に応じる考えを示しているという。ただし、日本大学は2016年度以降に採用した人を、法律に関係なく5年で雇い止めしている。

 専修大学は、独自の法解釈で5年での無期転換を拒んでいることになる。田渕弁護士は「不合理な理由で無期転換を拒むこと自体が違法だと考えています。裁判所の見解を問いたい」と提訴の意義を説明した。

無期転換拒否は法の目的に沿っているのか

 9月17日の第1回口頭弁論では、専修大学側から答弁書が提出された。原告の主張に対して争う姿勢を見せている。主要な反論は、次のようなものだ。

 答弁書によると、原告の福岡さんは英語教育学を研究し、小野さんは独文学の研究をしていたので、「科学技術に関する研究者」に該当する、と指摘。さらに、労働契約法や科技イノベ活性化法は業務内容や労働契約の内容を限定していないとして、2人には科技イノベ活性化法が適用される、と主張しているのだ。

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