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田中圭太郎「現場からの視点」

専修大学、30年勤務の非常勤講師の無期雇用を拒否…大学では異例、法律の抜け穴を悪用

文=田中圭太郎/ジャーナリスト
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 科技イノベ活性化法には業務内容が書かれていないので、研究開発の技術者に限定するものではないということだろう。法律の抜け穴を指摘しているともいえる。

 5年での無期転換を認めていないことについて専修大学に質問したが、大学側は「係争中のため回答は控えさせていただきます」と述べるのみだった。

 一方、原告側は、この裁判で非常勤講師の立場の弱さについても問題提起をしている。田渕弁護士はその趣旨を次のように説明する。

「非正規労働者は使い捨てされ、企業にとって都合のいい雇用の調整弁になっています。雇用は不安定で、雇用主に逆らえば次の契約が更新されないかもしれないと考えると、主張したいことも主張できません。法律が悪用されないように、法の適用を合理的に制限すべきではないでしょうか」

 原告の小野さんは、裁判に踏み切った心情を次のように話す。

「自分のためだけではなく、多くの非常勤講師のみなさんのためにも、不安定な雇用を強いられる状況を改めたいと考えて思い切って提訴しました。

 雇用の安定があってこそ、優れた研究や教育ができるはずです。若い研究者や非常勤講師のためにも、安心して働ける環境が実現できるように訴えていきたい」

 両者の主張は法律の解釈で食い違っている。今後裁判で争われるが、現場で問題が起きていることを考えると、労働契約法と科技イノベ活性化法の趣旨について、監督官庁や国会などでも再度論議されるべきではないだろうか。

(文=田中圭太郎/ジャーナリスト)

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