
フジテレビのドキュメンタリー番組『ザ・ノンフィクション』では、10月4日に「あの日 妹を殺されて 後編 ~15年後の涙と誓い~」が放送される。これは9月27日に放送された「あの日 妹を殺されて 前編 ~罪を憎む男が選んだ道~」の続編で、大阪の建設会社で社長を務める草刈健太郎さんへの密着取材の模様を伝えるものだ。
現在47歳の草刈さんは、元犯罪者支援の一環として、刑務所や少年院から出てきた人物を雇用し、寮に住まわせることで仕事と住居を提供、いわば“親代わり”を務めている。出所後、2人に1人は再犯してしまうという現実を踏まえた上で、犯罪加害者を減らすと同時に再犯防止の活動に取り組んでいるのだ。
これまで、採用面接のために訪れた全国の刑務所や少年院は50を超えるといい、基本的に会えば採用を決める。すでに18人の元犯罪者を採用し、現在も会社に残っているのは3人だ。元犯罪者が働いているということで大型の受注案件がキャンセルされたこともあり、再び犯罪に手を染めてしまった者もいるという。
こうした厳しい現実に直面しながらも草刈さんが元犯罪者支援を続けるのは、自身が犯罪被害者の遺族でもあるからだ。草刈さんは、15年前に7歳下の妹を留学先のアメリカ・ロサンゼルスで殺されている。犯人は現地で結婚したアメリカ人の夫で、彼は裁判で精神疾患を主張していたが、その後、矛盾する言動をみせているという。
「元犯罪者を雇用する取り組みを続ける企業は他にもあり、飲食業界では大阪のお好み焼きチェーン『千房』が有名です。創業者の中井政嗣会長の意向で刑務所や少年院から出所した人たちを積極的に雇用しています。この取り組みもまた、仕事がないことで出所者の多くが再犯に手を染めるという事実を知ったことがきっかけのようです。千房は、日本財団と企業が連携して元犯罪者の支援に取り組む『職親プロジェクト』を開始し、同プロジェクトには草刈社長のカンサイ建装工業も参画しています。
また、『ザ・ノンフィクション』では、今年4月に放送された『余命3年の社長と刑務所を出た男』でも、同様のテーマを取り上げています。北海道・札幌の『北洋建設』は約50年前から元受刑者を積極的に採用しており、その数は延べ500人を超え、元受刑者を日本で最も受け入れている会社といわれているそうです。同社の小澤輝真社長は進行性の難病である脊髄小脳変性症を発症しており、45歳の若さながら、医師からは『余命3年』と告げられています。そんな小澤社長の再犯防止活動に密着する様子が反響を呼びました」(週刊誌記者)
基本的には1話完結の『ザ・ノンフィクション』だが、「あの日 妹を殺されて」や「余命3年の社長と刑務所を出た男」のように、前後編で放送される回も少なくない。中でも、2017年10月に前後編で放送された「人殺しの息子と呼ばれて…」は北九州連続監禁殺人事件の加害者の息子がインタビューに応じ、凄惨な事件の裏側などを語った生々しい内容が話題となった。特に後編の平均視聴率は、7年ぶりの2ケタとなる10.0%(ビデオリサーチ調べ、関東地区)を記録した。