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飯塚幸三被告、日本の原子力開発の“重要人物”か…人類初の核融合実験炉計画との関連性

文=編集部

 当サイトは1989年7月7日まで飯塚被告が日本原子力委員会核融合会議の専門委員であったことを当時の資料で確認した。飯塚被告が務めていた多数の専門委員の中の1つにすぎないとしても、東京電力福島第1原発事故が起こった日本の国情を考えれば、原子力委員会でのキャリアは特筆すべきものではないだろうか。

人類初の核融合実験炉計画

 飯塚被告が原子力委員会に在籍していたころ、日本政府は核融合に関する研究開発を本格化させ始めた。現在も原研や量子科学技術研究開発機構などが「ITER(イーター)」(国際熱核融合実験炉)計画を進めている。このイーターの端緒になったのが、ちょうど飯塚被告が現役通産官僚だった1985年、ジュネーブでの米ソ首脳会談だ。原子力関連事業者界隈では当時の原子力委での議論が、後のイーターへの日本参画に先鞭をつけたと言われている。

 イーターは、人類初の核融合実験炉を実現しようとする超大型国際プロジェクトだ。2025年ごろの運転開始を目指し、日本・欧州・米国・ロシア・韓国・中国・インドの「世界7極」により進められている。日本は青森県六ケ所村の施設などで核融合炉の素材研究や遠隔操作、計測・計量技術分野を担当し、計画を進めている。

 一般的に原子炉といわれている「核分裂炉」(東京電力福島第1原発の沸騰水型軽水炉、関西電力美浜原発の加圧水型軽水炉など)が重い原子であるウランやプルトニウムの原子核分裂反応を利用するのに対し、「核融合炉」は軽い原子である水素やヘリウムによる核融合反応を利用してエネルギーを発生させる。

 そこで最も重要な技術課題の1つが、発生する超高温のプラズマをどのように閉じ込めるのかということだった。現時点でもっとも実現可能性が高いと言われているトカマク型核融合炉は、超高温のプラズマを閉じこめる磁気閉じ込め方式の1つで、「円筒」で輪を形作った巨大なドーナツのような形状で知られる。

 全国紙科学担当記者は話す。

「もう30年前のことで、一連の計画に日本がどのような経緯で参画することになったのか覚えている記者はいません。しかし、実際問題としてイーターで日本の担当分野は飯塚さんの得意とする分野が多いのが気になります。一連の計画は、極めて機密性が高く、容易に触れられる話ではありません。なぜなら米軍やロシア軍などの核心技術がかなり使われているからです。

 当然、日本側の担当者もそれに触れた人物は他の技術者とは違った位置づけになると思いますよ。仮に任期がほんのわずかな期間であったとしても、1980年代当時の原子力委員会の議論の内容は現在まで、ほとんど非公開です。1回しか会議に出席していなくても機密情報に触れることは少なくなかったでしょう。日本での軽水炉開発や使用済み核燃料再処理計画などを定めた日米原子力協定の経緯や背景は機密情報の塊ですしね。それ以上なのではないでしょうか。

 飯塚さんは単なる日本の科学分野での功労者や企業経営者というだけではなく、我々が思っている以上に日本政府や国際的に重要人物なのかもしれません」

 事故発生以来、飯塚被告には「国にとって特別な人間なのではないのか」「そのために捜査に手心が加わったり、政府が特別に擁護したりしているのではないか」との疑惑が浮かんでは消えてきた。果たして何が事実なのだろうか。

 いずれにせよ法の下では、どれほどの政府要人であっても、平等に裁かれるのが法治国家のはずだ。司法の判断が注目される。

(文=編集部)

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