NEW
たかぎこういち「“イケてる大先輩”が一刀両断」

豊富な資産を食い潰し破綻した「レナウン」経営陣から、アパレル業界は学ぶべきだ

文=たかぎこういち/タカギ&アソシエイツ代表、東京モード学園講師
【この記事のキーワード】

, ,

2.創業300年大阪船場の老舗小泉産業グループ

 創業1716年の小泉産業グループは、ルーツを同じとする学習机のコイズミファニテック、照明器具のコイズミ照明、繊維資材メーカー小泉製麻などがある。現在の小泉産業グループはアパレルを中心とする企業グループだが、私見ながら、過去の成功体験が新たな挑戦を阻害している典型的な企業である。販路のGMS(総合スーパー)、百貨店の顧客層は40代以上であり、良くも悪くもレナウンの顧客層と重なる。

 レナウンと小泉産業グループの譲渡交渉は、「アーノルド・パーマー」事業から始まったといわれる。小泉産業グループは2009年に破産した小杉産業から「ゴールデンベア」事業を引き継ぎ、17年度に売上169億円、経常利益16億円と素晴らしい業績を残し、グループ全体の利益額をも越えた。だが小泉産業グループの連結売上高は、14年度の531億円をピークに5期連続で減少し、19年度は423億円である。最終損益は12年度こそ41億円だったが、18年度以降は2期連続赤字、期待のコスギも減収減益である。

 しかし、実質無借金経営で投資余力はある。レナウン側の管財人弁護士は永沢徹氏で、09年に破綻した小杉産業の管財人も務めた人物である。小泉産業グループの植木会長とのパイプも信頼関係もあった。当初に希望したアーノルド・パーマーの譲渡は、本国からの条件もあり残念ながら折り合わなかったが、主要5事業の譲渡契約締結を決断した。

 日本MJ新聞のインタビューで植木会長は「今後、グループ各社で手掛けているECプラットフォームを、『モール』のような形で共通にする構想を考えている」、「自社のECモール比率はまだわずかなものでレナウンのECを取り込んで強化する」とも答えている。残念ながらレナウンのECは、客観的にみて売上比率、商品内容、販売方法のどれも成功とは程遠い。

 9月30日をもってレナウンのECサイトは一旦サービスが停止された。在庫の見切り売場でしかなかったこのECを魅力あるサイトに再生させるのは容易ではない。ブランディングが決して得意とはいえない小泉産業グループにブランド再生の勝算はあるのであろうか。

3.小泉産業グループが譲渡ブランドを再生できる唯一の道

 昨今の報道どおり、オンワードホールディングスの追加大量閉店を筆頭に、地方百貨店での撤退が続いている。たとえば福島県内最大の百貨店、うすい百貨店(郡山市)は1階にルイ・ヴィトン、ティファニーなどの高級ブランド店が出店している。しかし7月にはアクアスキュータム、8月には紳士服のカルバンクライン、婦人服の組曲、23区、自由区、iCBなどが閉店。地方の百貨店では売場を埋めるのに大変苦労している現状がある。

関連記事