さまざまな業界に影響を与えている新型コロナウイルス。中でも大打撃を受けたのが、ライブエンターテイメント業界だ。特にライブハウスはコロナ禍の初期段階でクラスターが発生し、感染のリスクが高いとされる「密閉・密集・密接」の3密をコンプリートする状況だったため、営業停止を余儀なくされた。
そんなライブハウスを主戦場にしているのは、バンドやミュージシャンだけではない。イベントや握手会などでライブハウスを使用することの多い地下アイドルたちにとっても、大きな収入源が絶たれてしまうことになった。
物販もチェキも売れず収入源がゼロに
「4月から6月くらいまでは、それまでのようなライブハウスでの活動は一切できませんでした。その間はライブ配信サービスの『SHOWROOM』などで活動していましたが、当時は『これからどうなっちゃうんだろう……』と毎日が不安でした」
そう話すのは“カラーギャングアイドル”をコンセプトにアイドル活動をしている「COLOR’z」のメンバー・橘れおなさんだ。彼女もまた、ライブハウスを中心に活動する地下アイドルのひとりだ。

「私たちの場合、物販やファンの方と撮ったチェキの売り上げが収入になります。チケットの売り上げから一部が支払われる『チケットバック』もありますが、よほど人気でない限りは、あまり期待できません。中にはチケットノルマがあるイベントもあるので、その支払いのほうがキツいという人もいますね。新型コロナの影響でライブができなくなってしまったので、物販もチェキも売れず、アイドル活動の収入がまったくなくなったグループもたくさんいると思います」(橘さん)
ライブができなければ、物販もできない。特に緊急事態宣言下でまったくライブができない時期は、掛け持ちのアルバイトを増やしたり、アマゾンの「ほしい物リスト」をSNSで公開してファンに支援を求めたりするアイドルも少なくなかったという。
ネット物販ならではのアイデア勝負が奏功
逼迫した状況の中で、橘さんはどのように生活していたのだろうか。
「私たちの場合は所属している事務所がサポートしてくれて、配信ライブのセッティングをしてくれたり、専用の物販サイトを立ち上げたりしてくれました。私は事務所の仕事を手伝ってアルバイト代をいただいていたので、生活はできていました」(同)
その他にも、ファンと電話で話すイベントなど、コロナ下でも可能なアイドル活動に励んだという。COLOR’zの配信ライブは無料なのでチケットバックはないものの、“ネット物販”の売り上げはメンバー個人の収入になるそうだ。
「もちろん、ネットなのでファンの方と一緒にチェキを撮ることはできませんが、サイトではメンバーのチェキをデコレーションした『デコチェキ』を販売しました。それだけでなく、メンバーたちが考案したオリジナルグッズも好評で、たとえば、ギターが得意な子がオリジナル曲をデータで販売したり、私は別のメンバーが歌うパートをすべてひとりで歌った音源を販売したりするなど、アイデア勝負で乗り切りました」(同)