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渡辺陽一郎「いちばん詳しい『人気の新車』完全ガイドシリーズ」

ダイハツ「タフト」が“お買い得”な理由&スズキ「ハスラー」に“見劣り”する点とは

文=渡辺陽一郎/カーライフ・ジャーナリスト
ダイハツ「タフト」がお買い得な理由&スズキ「ハスラー」に見劣りする点とはの画像1
ダイハツの「タフト」(「【公式】タフト トップページ|ダイハツ」より)

どんなクルマなのか?

 今の人気のカテゴリーは、軽自動車とSUVです。そこで、この2つの特徴を組み合わせた車種として、ダイハツ工業タフト」が開発されました。SUV風の軽自動車ですが、全高は1630mmと高く、広い室内を備えます。天井にはガラスルーフのスカイフィールトップを標準装着するなど、装備も充実させました。売れ行きは中堅水準です。

人気を得ている理由

 タフトを購入するのは、どのようなユーザーでしょうか。ダイハツの販売店に尋ねると、以下のように返答されました。

「まず子育てを終えたお客様が、チャイルドシートを装着しやすいダイハツのタントから、タフトに乗り替えることが多いです。ムーヴも2014年の登場なので設計が古く、新しいタフトに乗り替えるお客様が目立ちます。このほか、他社のコンパクトカーを使う方も購入されています」

 タフトは実用性が優れていますが、ファッション性も併せ持ち、直線基調のフロントマスクやボディサイドのデザインも個性的です。日常的に使いやすく、なおかつスカイフィールトップなどの装着で、楽しい雰囲気を備えるために人気を高めました。

気になる8つのポイントチェック&星取り採点

(1)居住空間の広さとシートの座り心地

★★★☆☆

 前席は硬めの座り心地ですが、サイズは十分にあって快適です。後席は座面が短く、硬めなので不満が伴います。

(2)荷物の積みやすさとシートアレンジ

★★★☆☆

 後席のアレンジは単純で、背もたれを前に倒すだけです。荷室は汚れを落としやすく、屋外でも使いやすいです。

(3)視界や小回り性能など運転のしやすさ

★★★★☆

 軽自動車では珍しくボンネットが良く見えて、車幅もわかりやすいです。最小回転半径も4.8mに収まります。

(4)加速力やカーブを曲がるときの安定性

★★★☆☆

 動力性能は軽自動車の平均水準です。走行安定性は全高が1600mm以上の軽自動車では優れた部類に入ります。

(5)乗り心地と内装の質感などの快適性

★★★☆☆

 乗り心地は硬めで細かなデコボコを伝えやすいですが、段差を乗り越えても不快な突き上げ感は生じません。

(6)燃費性能とエコカー減税

★★★☆☆

 2WDのノーマルエンジンはWLTCモード燃費が20.5km/L、JC08モードは25.7km/L。軽自動車の平均水準です。

(7)安全装備の充実度

★★★★☆

 歩行者を検知できる衝突被害軽減ブレーキ、サイド&カーテンエアバッグなどを標準装着しています。

(8)価格の割安感

★★★★★

 シートアレンジは単純ですが、安全&快適装備を充実させて、2WD・Xの価格は135万3000円と割安です。

選ぶときに確かめたい3つのメリット

・汚れを落としやすい荷室の下側にアンダーボックスも装着されて便利です。

・電動パーキングブレーキなど、先進的な装備を割安に標準装着しています。

・直線基調のボディは四隅の位置がわかりやすく、縦列駐車もしやすいです。

後悔しないための3つの要チェックポイント

・後席にスライド機能がなく、荷室の広さを拡大するなどの調節はできません。

・乗り心地と後席の座り心地が硬いので、4名で乗るなら快適性を確認しましょう。

・ノーマルエンジンの燃費数値をライバル車と比べると、タフトは見劣りします。

こんなユーザーにおすすめ

 背の高い軽自動車で大人4名乗車も可能ですが、前述の通り、後席の座り心地があまり良くありません。そこで、2名で乗車して後席を畳んで荷物を積むユーザーに適しています。ただし、後席にチャイルドシートを装着して子どもが座るのであれば、不満は生じません。

 ちなみに、大人4名で乗車するなら、ダイハツの軽自動車では「タント」がベストな選択です。また、タフトは価格を抑えながら装備を充実させたいユーザーにもピッタリです。

今後のモデルチェンジ予想

 タフトは2020年6月に発売されたので、当分の間、規模の大きなモデルチェンジは実施しません。しかし、ベーシックなXをベースに、上級グレードのアダプティブドライビングビーム、あるいは全車速追従型クルーズコントロールなどを標準装着した特別仕様車を設定する可能性はあります。

 アダプティブドライビングビームとは、GとGターボに標準装着される装備です。ハイビーム走行中に対向車や先行車を検知すると、複数のLEDヘッドランプのいくつかを消灯して、ハイビームの優れた視界を保ちながら相手方の眩惑を抑えます。全車速追従型クルーズコントロールは、運転支援機能の一種です。作動中には設定速度の範囲で、先行車との車間距離を自動調節しながら追従走行します。従って、ドライバーのペダル操作を軽減できます。

最近の販売状況と安く買うための商談方法

 軽自動車としては中堅水準の人気車です。スズキ「ワゴンR」や日産自動車「デイズ」と同等に売れています。設計の新しい軽自動車なので値引きは少ないですが、下取り車の査定額を高める余地はあります。ライバル車のスズキ「ハスラー」を相手に、購入条件を比較する方法もあります。

リセールバリュー/数年後に売却するときの価値

 軽自動車とSUVは人気のカテゴリーで、タフトは設計も新しいです。従って中古車市場での人気も高く、数年後には好条件で売却できるでしょう。購入から3年後の時点で、売却額は新車時の50%前後になると思います。タフトは装備を充実させたわりに価格が安く、なおかつ高い金額で売却できるため、損得勘定では有利です。

これが結論!/このクルマの総合評価&コメント

★★★★☆

 ライバル車のハスラーは、初代モデルを2013年に投入して、2019年に2代目の現行型が発表されました。そのためにタフトは、ハスラーの後追い的な商品に見えます。しかも、タフトはハスラーに比べると後席の座り心地に不満があり、シートアレンジも単純で、燃費数値でも見劣りします。

 その代わり、価格が最も安い2WD・X(135万3000円)にも、スカイフィールトップ、LEDヘッドランプ、電動パーキングブレーキなどの上級装備が標準装着され、ハスラーよりも買い得感を強めました。

 タフトの最も買い得なグレードは、機能と価格のバランスを考えると、中級の2WD・G(148万5000円)です。Gには7万円相当とされるアダプティブドライビングビームのほか、スーパーUV&IRカットガラス、ルーフレール、15インチアルミホイールなど、総額22万円相当の装備が加わります。それなのにXとGの価格差は13万2000円なので、Gが買い得です。

 自宅付近に坂道が多いユーザーは、販売店の試乗車を使って、実際に登り坂を試してみましょう。このときにパワー不足を感じたら、2WD・Gターボ(160万6000円)も検討すると良いです。

 Gターボの価格はGに比べて12万1000円高いですが、全車速追従型クルーズコントロールを含んだセットオプション(4万4000円)が標準装着されます。この金額を12万1000円の価格差から差し引いた7万7000円が、ターボエンジンの正味価格です。

 ターボはノーマルエンジンに比べて最大トルクが1.7倍に増強され、加速力も大幅に向上します。その一方で、ターボではCVT(無段変速AT)も上級化するため、WLTCモード燃費はノーマルエンジンに比べて0.3km/Lしか悪化しません。つまり、タフトのターボは効率が優れているので、7万7000円で手に入るなら買い得です。軽自動車のターボは、生産台数が多いため、ほかの車種も含めて全般的に価格が割安に抑えられています。

(文=渡辺陽一郎/カーライフ・ジャーナリスト)

渡辺陽一郎/カーライフ・ジャーナリスト

渡辺陽一郎/カーライフ・ジャーナリスト

1961年生まれ。神奈川大学卒業。1985年に自動車雑誌を中心に扱うアポロ出版株式会社に入社。その後、同社で複数の自動車雑誌やアウトドア雑誌を手掛け、1989年に自動車購入ガイド誌「月刊くるま選び」の編集長に。1997年にはアポロ出版株式会社の取締役も兼任。2001年6月に40歳を迎え、同月に「カーライフジャーナリスト」の肩書でフリーランスに転向。

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