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「相馬勝の国際情勢インテリジェンス」

中国・習近平主席、失脚の可能性…副主席が離反で“習降ろし”勃発、権力闘争が激化

文=相馬勝/ジャーナリスト
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 同氏の習近平失脚説の根拠は、今年5月のWHOの年次総会で加盟194カ国の代表が新型コロナウイルスの発生源や初動対応に関する独立した検証委員会を設置し、今年11月には中間報告が公開されることだ。ドラモンド氏は、中国では昨年から新型コロナウイルスが発生。習指導部はそれを知っていながら、今年1月22日まで中国での感染拡大を公表しなかった。これが世界中での感染拡大の原因であり、これが知られれば、中国は世界中の国々から責任を追及されることになると予測。そうなれば、中国共産党内で習氏の責任追及が始まる可能性があり、その逆ならば、中国は欧米諸国から責任を追及され、世界は再び冷戦状態に陥り、中国は国際社会から孤立することは必至だという。

 党指導部が習氏の責任を追及しないとの選択肢をとるならば、中国すでに深刻な対立状態に陥っている米国を筆頭に、大半の国々と厳しく対立する道を選ばなければならない。それを覚悟しているように、習氏は昨年から「自力更生」という毛沢東が好んで用いていた言葉をしばしば口にするようになっている。

 最近では今月12日、広東省視察中の習氏がハイテクの優良企業を訪れ、「企業の発展にも、産業の高度化にも、経済の質の高い発展にも独自イノベーションが必要だ。現在我々は過去百年間なかった大きな情勢変動の最中にあり、より高い水準の自力更生の道を歩む必要がある」と指摘した。これ以前にも、18年の大晦日にテレビ演説で発表した19年の元旦のあいさつで、米中の貿易戦争が激化するなか中国民に団結を呼びかけるとともに、自らの努力で困難を克服する「自力更生」を堅持すべきと強調した。

 自力更生とは主に、毛沢東が1945年8月に延安での幹部会議で「自らの力を基本とすることを自力更生と呼ぶ。我々は孤立してはいない。帝国主義に反対する世界のあらゆる国や人民はすべて我々の友人である。しかし我々には、自らの力をもって、国内外の反動勢力を打ち破る力がある」と演説して打ち出したように、欧米列強を敵に回して、自らの力で道を切り開いていくことを示している。

 この文脈から見ると、習氏は米国など欧米諸国と妥協せずに、徹底的に戦い続けていくと強い決意を「自力更生」という言葉に込めているといってもよいだろう。

 このようななかで、党内の反習近平グループがどう出るのか。あと2年後に迫った第20回党大会を前にして、党内の権力闘争が激化するのは必至といえよう。

(文=相馬勝/ジャーナリスト)

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