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今、電子タバコが“禁煙グッズ”として注目される理由…豊富なフレーバーで非喫煙者にも普及

文=松嶋千春/清談社
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「gettyimages」より

 東京都では今年4月1日より「受動喫煙防止条例および改正健康増進法」が全面施行され、公的機関は屋内全面禁煙化、飲食店やホテル、パチンコ店などでも全面禁煙化や分煙化が進められた。新型コロナウイルス感染防止のための営業自粛や外出制限のさなか、特に反発もなく、粛々と禁煙化が完了した感もある。

 3月27日には、米食品医薬品局(FDA)が「喫煙が新型コロナウイルスの感染リスクを高める」との見解を発表した。この衝撃的なデータを踏まえ、電子タバコ専門店「Beyond Vape Japan」は喫煙者を対象に禁煙の意識調査を実施。すると、喫煙者の約30%が新型コロナの影響で「禁煙を考えた」と回答し、そのうち「禁煙を始めた」と回答した人は約40%にのぼったという。

“禁煙グッズ”として注目される電子タバコ

 Beyond Vape Japanの前川昇氏によれば、喫煙者に対するさまざまなマイナス情報が報道されるにつれて、電子タバコが「禁煙グッズ」として注目を集めるようになったという。

「たばこ税率引き上げや消費増税のタイミングでも売り上げに動きはありましたが、やはり今回の都条例施行のタイミングが一番反応が大きく、今年の3月は今までとは違う伸び方をしていました。禁煙目的でベイプ(電子タバコ)に乗り替える方もいれば、『タバコはやめないけれど本数は減らしたい』と言って、紙タバコや加熱式タバコと併用する方もいらっしゃいます」(前川氏)

「加熱式タバコ」とは、フィリップ・モリスの「IQOS(アイコス)」、JTの「Ploom TECH(プルーム・テック)」、ブリティッシュ・アメリカン・タバコ・ジャパンの「glo(グロー)」など、タバコ葉を加熱して発生した蒸気を吸う方式のものをいい、いわゆる「電子タバコ」とは区別される。

「加熱式タバコはタバコ葉を加熱して発生する蒸気を吸うのに対し、電子タバコはフレーバー付きのリキッドを気化させた蒸気を吸います。日本においては、たばこ事業法や薬機法の関係で液体にニコチンを添加することはできないため、国内で販売可能な電子タバコ用リキッドは、基本的にノンニコチンのものに限られます。日本における定義はまだ曖昧ですが、世間一般での大枠の呼び名として電子タバコがあり、その中に加熱式タバコとベイプが含まれるイメージでしょうか」(同)

 Beyond Vape Japanの運営会社であるAMDIAの取締役社長・伊藤淳也氏によれば、ベイプ(電子タバコ)はもともと嗜好品というより趣味的な側面が強いアイテムだったが、近年はその傾向も変わってきたという。

「リキッドを組み合わせてオリジナルの味をつくったり、キック感(吸いごたえ)を調整したり、デバイスにこだわってみたりと、ちょっとオタク気質な趣味として長く続ける方が多かったのですが、最近はタバコの延長として吸う方も増え、禁煙目的のライトユーザーの増加とともに、吸いきりタイプなど手軽なものへの問い合わせが増えているようです」(伊藤氏)

 ちなみに、ニコチン入りの電子タバコを利用するには、個人輸入でリキッドを取り寄せるしかない。ノンタール・ノンニコチンのリキッドのみ販売が許可されている日本ならではの傾向として、非喫煙者の利用も一定数あるようだ。

「フルーツや紅茶、メンソールなど、非喫煙者でも楽しみやすいフレーバーが揃っています。いわゆる喫煙所コミュニティを理由に挙げる方もいて、『たばこが苦手だけど喫煙所トークに参加するために、吸えるものを探していた』という声もしばしば聞かれます」(前川氏)

タバコと同様のマナーやモラルは必要に

 電子タバコは法律上の「たばこ」に該当しないため、たばこ税がかからず、都の受動喫煙防止条例や改正健康増進法の規制対象にも、厳密にいえば該当しない。タバコでないとなると、未成年者も吸っていいのか、禁煙の場所で吸ってもいいのか、という疑問が生じてくるが……。

「ニコチン入り電子タバコが流通しているアメリカでは、その吸いやすさから未成年者の利用が問題になり、フレーバー付き電子タバコへの規制が強化されました。日本では、ノンニコチンの電子タバコを未成年が吸っても法には抵触しませんが、電子タバコ販売店に『未成年の方には販売しない』という共通認識があります」(同)

 また、伊藤氏は、紙巻タバコや加熱式タバコと同様のモラルをもって電子タバコを利用すべきだと念押しする。

「ノンニコチンだから禁煙のタクシー車内で吸っていいのかと言われたら、いいと断言はできません。はたから見て『タバコを吸っているじゃないか』と捉えられてしまう行為自体が、モラルに反する可能性があるわけです。今、タバコを吸える場所がかなり限定されている中で、喫煙所の密を避けるために離れた場所で吸う人がいたり、路上喫煙をしたりする人が増えていると感じます。今後、タバコの種類に関わらず、喫煙者のマナーがより問われていくでしょう」(伊藤氏)

 自身もベイパー(電子タバコユーザー)である前川氏は、電子タバコのメリットをこう語る。

「紙巻タバコや加熱式タバコだと1本吸いきるのに時間がかかりますが、電子タバコなら、信号待ちの数十秒、喫煙所に立ち寄ってひと吸いだけで終わらせることも可能ですし、その場でゴミも出ません。屋内で吸っても香りが残りにくく、ノンタールだからヤニで壁紙が黄色く変色することもありません。匂いや受動喫煙のことを考えると、非喫煙者に対しても優しいという点は、やはりすごく大きいです。マナーと気遣いをもって利用すれば、吸わない人と吸う人は共存できると思います」(前川氏)

 有吉弘行と西島秀俊が出演するノンタール・ノンニコチンの電子タバコ「myblu(マイブルー)」のテレビCMでは、西島扮する客が「たばこじゃないやつ」と言って、有吉扮する居酒屋店主とカウンター越しに談笑している。10月1日からたばこ税が増税されたのを機に「タバコじゃないタバコ」の勢力がどうなるのか、動向に注目したい。
(文=松嶋千春/清談社)

●「Beyond Vape Japan

清談社

清談社

せいだんしゃ/紙媒体、WEBメディアの企画、編集、原稿執筆などを手がける編集プロダクション。特徴はオフィスに猫が4匹いること。
株式会社清談社

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