
第18週のNHKの連続テレビ小説『エール』は、慰問のために戦地に出発した古山裕一が、ビルマでリアルな戦いに直面。朝ドラとは思えぬ戦争の描き方に、ツイッター上では「朝から泣いた」というつぶやきも多数見られた。想像以上に大きな衝撃を与えた10月12日(月)~16日(金)のストーリーを振り返ろう。
ついに終戦…「音楽が憎い」と語る裕一
古山裕一(窪田正孝)は作家の水野伸平(大内厚雄)、洋画家の中井潤一(小松和重)に同行して、インパール作戦の最中にあるビルマのラングーンを訪れた。前線へ行く命令が出ないまま1カ月が経ち、水野と中井は希望が通って戦地行きが決定。裕一は、その際に「ビルマ派遣軍の歌」という詞を託され、その詞に曲をつけたり、現地の子どもたちと触れ合ったりするなどして過ごしていた。
2カ月後、従軍記者の大倉憲三(片桐仁)から藤堂先生(森山直太朗)がビルマにいることを知らされ気持ちが弾むが、前線から戻ってきた中井からは戦地を描いた地獄のような絵を見せられ、衝撃を受ける。
日本に戦争の実情を伝えるために再び戦地に赴くという中井に、裕一は藤堂に会いたいが体が動かないと吐露。すると、中井は、戦意を高揚させる曲をつくったことで良心の呵責があるのではと指摘し、自分の行いは正しかったのだと確認したいのなら戦地に行くべきではない、と制する。
しかし、裕一はその言葉をきっかけに戦地行きを申し出た。出発が決まると、身近にあった楽器をかき集めて、藤堂のいる前線へ向かった。前線に着いて再会を喜んだのも束の間。藤堂が急遽集めたドラム、ギター、トランペット編成の音楽隊と「ビルマ派遣軍の歌」の練習に入った。
その日の夜、音楽隊のメンバーたちと語り合う中で、それぞれが抱えている、日本にいる家族への心残り、戦地へ来てから気持ちに変化があったことを知った。「死ぬのが怖い」と言い、「必ず生きて帰ろう」と約束し合ったメンバーたちの歌う「露営の歌」は悲しく響いた。
翌朝、裕一は藤堂から家族への手紙を託された。
その後、慰問の本番前の練習をしようとしたタイミングで、敵軍の発砲が裕一たちを襲った。藤堂に連れられて車の下に隠れた裕一は、兵士がバタバタと死んでいく様を目の当たりにし、冷静さを失う。そして、あろうことか藤堂までもが鉄砲の餌食に。
何とか藤堂を避難させると、「最後に会えてよかった。昌子(堀内敬子)と憲太(宇佐見謙仁)にも、もう一度会いたかった」と言い残して目をつむった。
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裕一は福島に戻ると、すぐに昌子を訪ねて藤堂から預かった手紙を渡した。そこには、家族を残して行ったことへの謝罪や昌子への愛が綴られており、昌子は「もう一度会いたい」と嗚咽した。
一方、福島に疎開していた古山音(二階堂ふみ)と古山華(根本真陽)。裕一の突然の帰宅に音は安堵の涙を流した。古山家は家族5人でささやかなひと時を過ごすが、気持ちの整理がつかない裕一は一足先に東京へ戻った。