東京では、戦況が悪化するほど裕一への作曲依頼が増え、藤堂の戦死を知った村野鉄男(中村蒼)からも弔いの詞が持ち寄られた。

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 豊橋では、田ノ上五郎(岡部大)がキリスト教の集会で特高に捕まった直後に空襲に襲われた。町中が燃える中、原稿を取りに戻った田ノ上梅(森七菜)を追って、岩城新平(吉原光夫)も火中へ。2人はガレキの下敷きになったが、何とか生き延びることができた。

 そして、昭和20年8月15日、日本は敗戦した。

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 東京の裕一のもとに、トキコ(徳永えり)が弘哉(山時聡真)の戦死を伝えに訪れた。東京へ戻ってきた音と華にそのことを伝えると、弘哉に恋心を抱いていた華は「弘哉くんに会いたい」とむせび泣いた。

 裕一は人を戦争に駆り立てる曲をつくったことを後悔し、「僕は音楽が憎い」と言い、この日以来、曲をつくらなくなった。

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 その頃、劇作家で演出家の池田二郎(北村有起哉)がNHKに戦争孤児の物語をつくって持ち込んでいた。CIE(民間情報教育局)の手前、戦争ものは受け入れられないとNHK局員の初田(持田将史)がやんわりと断るが、池田は引き下がらず、初田は何とか言いくるめて娯楽ドラマをつくるように説得する。

 その帰り、闇市で食事をしていた池田は、その姿をうらやましそうに見ていた子どもたちに自分の食事を与えた。その隙に池田の財布を盗もうとした少年を捕まえると、「もう少し待ってろ! お前たちのドラマをつくってやるからな!」と叫んだ。

戦後の日本で大きな役割を果たす池田二郎

 戦争に翻弄される裕一に、藤堂の死、関内光子(薬師丸ひろ子)の讃美歌など、見どころの多かった前週。その中でも最後に大きなインパクトを与えたのが、池田二郎を演じる北村有起哉だ。

 ほんの数分の出演だったが、池田のどっしりとした安定感や力強さ、静かな迫力に目を奪われた視聴者は多いだろう。

 北村は言わずと知れた名俳優で、これまでにも数えきれないほどのテレビドラマ・映画・舞台に出演しており、『エール』は『わろてんか』に続く朝ドラ2作目となる。

 北村演じる池田二郎のモデルは、古関裕而とタッグを組んで数々のヒット作を生み出した劇作家の菊田一夫。その功績から1975年に「菊田一夫演劇賞」がつくられ、『放浪記』『ミス・サイゴン』『レ・ミゼラブル』などの名作が同賞の演劇大賞を受賞している。ちなみに、2019年度は、20年にわたって『SHOCK』シリーズを牽引してきた功績を評して堂本光一が選ばれている。

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