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月間500件、相談殺到のキャスティング会社…芸能事務所や広告代理店と異なる多彩な人材

文=高井尚之/経済ジャーナリスト・経営コンサルタント

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「すし職人」や「美容系ユーチューバー」など、幅広いキャスティングを行う

 今年1月下旬、東京都内に本社を持つ会社の社長と会い、業務内容を聞いた。芸能系のキャスティングや人材紹介事業を手がけ、業績はこの4年で4倍以上に拡大したという。取り扱う案件はユニークで、後述するが創業社長のビジネス人生にも興味を持った。

 だが、間もなく新型コロナウイルスが日本国内を直撃。各企業が厳しい経営の舵取りを強いられた。通常であれば開催されたはずの「企業の発表会」や大小の「イベント」が中止・延期に追い込まれ、芸能人や文化人、エンタメ関係者も活躍の場を奪われた。春や初夏のような状況ではないとはいえ、コロナ禍が続く現在、同社はどうしているのか。9カ月ぶりに社長を取材すると、意外な展開となっていた。

 今回は、人材開発における「雇用の流動化」や「働き方改革」の視点でも紹介したい。

大型案件は減ったが、月間500件の相談を受ける

「コロナ禍で以前のような大型案件は減りましたが、小型案件が非常に多くあります。広告代理店や企業、団体、個人から月間約500件の相談を受け、約120件を実施しています」

 株式会社エイスリー(A3)の山本直樹社長は、こう説明する。山本氏が語る「大型案件」とはプロモーション予算全体で1億円超、「小型案件」は同数百万円規模だという。

 まず、近年の同社の業績と営業利益を紹介しておこう。
※売上高と営業利益
2015年9月期:2億2200万円、1000万円
2016年9月期:3億300万円、1300万円
2017年9月期:5億8600万円、7700万円
2018年9月期:9億5400万円、6700万円
2019年9月期:13億1600万円、1億1800万円
2020年9月期:14億6600万円、6700万円
(出所:同社の発表資料より)

「当社は『世界の才能をつなぐ』を掲げ、タレントや俳優、モデルから、アーティスト、アスリート、文化人、専門家、ユーチューバー、インフルエンサーなど、大手芸能事務所や広告代理店系では手が回らない、多彩な人材のキャスティングをしてきました。今期の業績は増収を確保しましたが、コロナの影響により減益となっています」(同)

 提供する人材の幅の広さも特徴なのだ。たとえば、2019年10月から展開されたマルハニチロの新企業CM「つづく、幸。バリューチェーン編」では、出演者をキャスティング。CMでは完全養殖のマグロを紹介しつつ、寿司店でマグロを握って提供する寿司職人も登場する。職人役は俳優ではなく、高級寿司店の料理長を直々にスカウトしたという。

「寿司ネタを扱うシーンはリアリティが求められるため、この手法を採用しました。エキストラやナレーターのキャスティングも当社で行っています」(同)

 本稿では、こうした人を含めて「有能人」の視点で紹介したい。

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