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ウーバーイーツ「インチキ商品」「配達員が盗み食い」騒動の背景にある不信感と使用者責任

文=編集部
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コロナ禍の影響であっという間に一般化したUber Eats。(画像はイメージです、写真:マリンプレスジャパン/アフロ)

 2016年9月に日本に上陸し、Uber Japan株式会社により運営されているオンラインフードデリバリーサービス・Uber Eats。利便性の高さから人気を博す一方、何かとトラブルも多いこのサービスで、またもある問題が発生しているという。

 きっかけとなったのは、10月19日のTwitter上のある投稿。愛知県内の学生と思しきユーザーが、Uber Eatsを通じてある飲食店の提供する「自家製つけだれメガ唐揚げ丼」なる商品をオーダーしたところ、メニューに掲載されていた商品画像とは著しく異なるものが届いたと暴露。店舗掲載の画像と実際に届いたものを撮影した画像とを並べ、「写真だと5個ぐらいは乗ってる唐揚げが2個しか乗ってない」とした上で、「流石におかしいのでは?」と疑問を投げかけたのだ。

 この投稿に対して、「もしかしてUber Eatsの配達人がつまみ食いをしたのではないか」との声が殺到し、プチ炎上。さらにこの騒動をウェブメディア「バズプラスニュース」等が報じたことから、「これは、Uberがしっかりと調査をすべき」「こんなことが起こっていてはサービスを利用するのに不安が残る」と、Uber Eats側の“監督責任”を問う声も上がる事態に発展したのである。

「違う商品が届いた」「配達員が盗み食い」は結局“勘違い”だったのか?

 ところが2日後に事態は一転。21日に、なんと肝心の学生らしきユーザーが、件の投稿を削除。さらには、以下の投稿を最後に沈黙してしまったのである。

「この度は私の軽率な行動で多くの方々にご迷惑をおかけしたことをお詫び申し上げます。故意でお店やUberの評判を落としたかったわけではなく、私の確認不足が原因です」

 この動きに対しTwitter上では、そもそもすべてはこのユーザーの虚言だったのか……との疑惑さえ投げかけられることに。そこで本サイトではこのユーザー本人に取材を申し込んでみたものの、「今回の件は自分に責任があることですので」とのことで拒否。結局真相は藪の中、となってしまったのである。

 しかし、ユーザーの謝罪の前後よりTwitter上では、今回ユーザーが注文した店舗のメニューと思われるものが特定され、唐揚げが2個だけの別商品が存在するとの指摘がなされ始めていたようだ。となればユーザーの盛大なる勘違いであり、それが事実だったとすれば、当該ユーザーによる上記の謝罪の言葉も腑に落ちるものとなるのだが……。

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当該ユーザーによる謝罪の投稿

危険運転、高速道路逆走……配達員による相次ぐ“危険運転”

 とはいえ今回の騒動の背景には、Uber Eatsのサービスに対する“不信感”があることは間違いあるまい。運搬時の振動で食べ物がグチャグチャの状態で届く……という声は以前よりあるし、昨年10月には、届いた食べ物の状態があまりにひどかったため受け取り拒否をしたところ、住んでいるマンションの共有部に、配達人によって投げ捨てられていた……との投稿がTwitterで物議を醸したことも。

 また、配達人のマナーの悪さもたびたび話題になっている。ウーバーバッグを背負った配達人による“危険運転”のひどさは、画像や動画付きで何度もSNSにアップされては炎上しているし、この5月にはUber Eats配達人と思しき男性による東京都新宿区の首都高速4号上り線への自転車侵入、10月20日にも同じく配達人と思しき者による首都高での“自転車逆走事件”なども起こり、議論を呼んだ。

 こうした事件の頻発により、特にネット上で「Uber Eatsの配達人は何をしでかすかわからない」という空気が醸成されていることは否めないだろう。

Uber Japanは、配達人とは雇用関係も業務委託契約も何も結んでいない

 一方で問題視されているのが、Uber Eatsのビジネスモデルだ。システム上、Uber Japanはあくまでも労働サービスのプラットフォームを提供しているだけであり、登録した飲食店と配達員のマッチングを行ってその手数料を徴収しているだけ……という建て付けになっている。そのため、商品の配達という業務委託契約はあくまでも飲食店と、個人事業主である配達人との間で交わされているのであり、Uber Japanは、配達人とは雇用関係も業務委託契約も何も結んでいない……ということになっているのだ。

 ゆえに上記の“受け取り拒否騒動”でも、当事者がUber Japanのサポートに連絡したところ、「配達パートナーは個人事業主なので、Uber Japanは関与できない」と言われてしまい、なんの解決にもならなかったという。

 しかし、配達先や配達時間の実質的な指定、そして間接的にではあれ金銭の媒介をしている以上、配達時になんらかのトラブルがあった際、Uber Japan側に一切の責任がない、ということが許されるのだろうか?

「Uber Eatsに対するそうした疑問の声は、サービス開始当初からありましたね。一般ユーザーのみならず識者からも、こうした新たなサービスのなかでの労働形態に対し、時代に即した新たな法体系、労働契約のあり方を考えるべきだとの声は上がっています。

 2019年11月には、Uber Japanが実施した配達員に対する報酬引き下げに対し、配達員らで結成された労働組合がUber Japanに団体交渉を申し入れるという騒動もありましたが、『配達パートナーは個人事業主であり、労働組合法における労働者には該当しない』というのがUber Japan側の公式見解。この認識のもと、団体交渉も拒否されてしまいましたね」(全国紙経済部記者)

「配達員にケガさせられた」「Uber Japanにも使用者責任がある」として大阪で民事訴訟

 この10月23日には、Uber Eatsに関するこうした疑問の声を象徴するような出来事が報じられた。Uber Eats配達員によって怪我をした女性が、Uber Japanを民事訴訟で訴えたというのだ。

 読売新聞の報道によれば、2018年にUber Eatsの配達員が乗る自転車に追突され負傷したとして、大阪市の会社役員女性が、配達員のみならずUber Japanに対し約250万円の損害賠償を求めて提訴。同紙の取材に対しUber Japanは、「配達員は個人事業主であり、ゆえに雇用関係は存在せず、業務委託契約も結んでいない」という“いつもの主張”を繰り返したという。22日に大阪地裁で開かれた第1回口頭弁論では、女性側は「Uber Japanに使用者責任がある」と主張、対するUber Japan側は請求棄却を求めたとのことだ。

 自由な時間に働ける、頑張れば頑張るほど稼げる……等々、Uber Eats配達員として働くことのメリットが称揚されることも多いのは事実だ。しかし、こうした新たな働き方に対する、“万が一”の際の新たな法的整備もまた、求められているのではなかろうか。

BusinessJournal編集部

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